デンマークは、北欧の中でも最も南に位置する国で、近年ではクリーンエネルギーの活用が進んでいるということでも有名ですね。そして、自治地域であるものの、グリーンランドもデンマークに含まれています。そんなデンマークにはどんな世界遺産があるでしょうか?
ここでは、デンマークの世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
目次
イェリング墳墓群、ルーン文字石碑群と教会
ユトランド半島でも中央に位置するイェリングは、10世紀にデンマーク王国の最初の王とされるゴーム老王の拠点であった場所で、ここには2基の文字で刻まれた石碑があります。
それぞれゴーム老王とその息子・ハーラル青歯王によってルーン文字が刻まれていて、特にハーラル青歯王のものはデンマークの統一やノルウェーの支配、そしてデンマークのキリスト教化を示すという歴史的な意義があるもの。
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ロスキレ大聖堂
首都コペンハーゲンがあるシェラン島北部に位置するロスキレは、デンマークでも最古の町の一つとされるほどに歴史が深い町。
大聖堂は、12〜13世紀に建造されたスカンジナビア初のゴシック様式の大聖堂。これは北欧のレンガ建築のモデルともなりました。15世紀にはデンマーク王室の墓所が置かれるようになるほどに格式の高い大聖堂でもあります。
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クロンボー城
デンマークとスウェーデンの間のエーレスンド海峡にある要塞の機能を持った城。 バルト海への玄関口であり、たった4kmしかないこの狭い海峡で、15〜19世紀までデンマークはクロンボー城を利用して、海峡を統治していました。
城の構造は、中庭を囲むように4つの建築物を合わさったルネサンス様式のスタイル。クロンボー城は、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』で「エルシノア城」として登場しており、ここでハムレットの演劇公演が行われることも。
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イルリサット・アイスフィヨルド
グリーンランドの西部に位置するイルリサットは、北極圏にあるにもかかわらず、島内でも3番目に大きな町。周囲にあるフィヨルドは約4000平方kmも広がる巨大なエリア。
ここには南極大陸を除くと世界最大であるグリーンランドの氷河の約10%を占める「セルメク・クジャレク氷河(ヤコブスハブン氷河)」があることで知られます。この地から分離する氷は毎年40立方kmにもなり、気候変動の研究において非常に役立ってきました。
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ワッデン海(オランダ・ドイツと共同)
ワッデン海とは、オランダのデン・ヘルデルから、ドイツの沿岸を経由してデンマークのエスビャウまで広がる約500kmの海域のこと。ここは塩の干満によって形成される砂州や湿原などが広がるエリアで、ゼニガタアザラシやハイイロアザラシなど、数多くの海洋哺乳類が見られることで知られます。
デンマークでは、「ワッデン海海洋保護区」が登録されています。
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ステウンス・クリント
デンマークの首都コペンハーゲンから南へ約45kmに位置する白亜質の断崖は、ステウンス・クリントと呼ばれるもの。高さ40mの断崖には約6500万年前、現在のユカタン半島付近で衝突したチクシュループ隕石の衝突の痕跡が残っています。
当時舞い上がった灰はここで積り、地層には絶滅した動植物の完全な化石が多く見られるため、地球の歴史を示すという点で非常に貴重です。
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モラヴィア教会の入植地
南ユトランドのコリング市にある人口3000人弱の小さな町クリスチャンスフェルド。ここは1773年にプロテスタントのルター派教会の一派・モラヴィア教会の信徒によって計画された入植地です。
町には彼らの平等主義とヒューマニズムという哲学が重視されていて、プロテスタントの理想都市となりました。教会広場を中心に、1〜2階建ての質素で均質な建造物が並ぶというのが特徴。
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シェラン島北部のパル・フォルス式狩猟の景観
首都コペンハーゲンのあるシェラン島はバルト海に面していて、島の北部にはデンマーク王と王室が利用していた狩猟用の森と公園が残っています。ここは17世紀〜18世紀後半にデンマーク王や王室によって猟犬を利用した騎乗狩猟(パル・フォルス式狩猟)が行われていた場所。
森と公園は狩猟場として、格子状に広がった道路や番号の付いた石柱や柵、狩猟小屋など、バロック様式の造園様式が採用された景観が広がっています。
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グリーンランドのグヤダー:氷冠縁辺部における古代スカンジナビア人とイヌイットの農業景観
クジャターとは、グリーンランド南部に位置する「東入植地」を意味するもので、この地では亜寒帯における農業景観が広がっています。ここは農業や放牧、海洋哺乳類の狩猟などを含めた文化的景観が見られ、北極圏の農業の導入とヨーロッパを越えてノース人(北欧に住んでいた古代スカンディナヴィア半島の人々)が入植地を拡大していったことを示すもの。
世界遺産としては、5つの構成資産が登録され、農場や牧草地、かつてのノース人が利用していた教会や大聖堂などの考古学遺跡が含まれます。
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アーシヴィスイト=ニピサット、氷と海の間のイヌイットの狩場
グリーンランドの西海岸はフィヨルドが続き、陸の先へ進むと氷床へと至る厳しい土地。アーシヴィスイトからニピサットにいたる7つものエリアは、4200年にわたる人類の足跡が残ります。
ここは狩猟や移動、気候、航海、医学に関する無形・有形の文化遺産が残るという文化的景観が見られ、古くにこの地に住んでいたバレオ・イヌイットと現在のイヌイットの文化を伝える遺跡や冬に暮らす家、カリブー(トナカイ)の狩猟の跡が点在。
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ヴァイキング時代の円形要塞群
デンマーク国内には、ヴァイキングの王ハーラル1世青歯王(958年?〜985年?)が支配していた時代に建造された「円形要塞」が点在しています。これは円形の城壁に囲まれたもので、十字を刻むように2つの道路と4つの門が対角に位置する位置するように建造されていました。
現在は遺跡となっていて、この要塞の用途は詳しくわからないものの、ヴァイキングたちの建築技術や科学知識などがよく分かるという点で評価されています。
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世界遺産マニアの結論と感想
デンマークは文化遺産が8件、自然遺産が3件と合計で11件。北欧ということもあり、ヴァイキングの遺跡もある一方、デンマーク王家に関連する遺産も多いのも特徴。グリーンランドだけでも文化遺産が2件、自然遺産が1件と意外にも世界遺産の数が多く、さまざまなカテゴリーの遺産があるというのもデンマークの魅力でもあります!
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。