世界遺産といえば、やはり人気があるのがお城!ヨーロッパの豪華絢爛なお城から要塞の機能がある堅固な城までさまざま。ところで、世界遺産に登録されたお城はどんなものがあるでしょうか?
ここでは、世界遺産に登録されている海外のお城を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。各国の個性あふれるお城を簡潔に解説していきましょう。
目次
エディンバラ城/イギリス
スコットランドの首都エディンバラにある、キャッスル・ロックと呼ばれる小高い岩山に建つ城。もともとは7世紀ころから要塞が造られていたという説もありますが、現在見られる建物で最も古い部分は12世紀のもので、ほとんどの建設物は16世紀以降に再建されました。現在は軍事博物館として使用されています。
「クラウン・ルーム」には、かつてスコットランド王が戴冠する際に使用した「スクーンの石(運命の石)」があり、これは1996年にイングランドから返還されたもの。城で最も古い部分は、12世紀に建造された聖マーガレット教会堂で、これはスコットランド王のデイヴィッド1世が、母のマーガレット・オブ・スコットランドのために建造。
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コンウィ城/イギリス
ウェールズ北西部にあるグウィネズ州と周辺には、13世紀後半にイングランド王エドワード1世(1272〜1307年)によって建造された城郭が残っています。その中の一つ、コンウィ城は風景画家のモデルとなるほどに芸術家たちに愛されるようになりました。
コンウィはコンウィ州の州都で、中世からコンウィ川の河口にある集積地でした。13世紀後半になるとエドワード1世がこの地を征服し、宮殿跡に城と城壁を建造。17世紀までは栄枯盛衰を繰り返したものの、18世紀には完全に廃墟になりました。
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カルカソンヌ/フランス
カルカソンヌ市は、フランス南西部のオード県の県庁所在地。一般的に「カルカソンヌ」といえば、現在の都市全体を指し、南東部に広がる城塞都市は「カルカソンヌ=シテ」と呼ばれています。
ここは古代ローマ時代から城壁が建造され、13世紀には現在の町並みになったものの、17世紀にピレネー条約が結ばれて以降は重要度が下がりました。19世紀〜20世紀前半には大幅に改築され、美しい景観から現在では国内でも有数の観光地に。
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シャンボール城/フランス
フランス中部、ロワール渓谷沿いでも最も広大な城。ヴァロワ朝のフランソワ1世によって1519年から建築が始められたものですが、彼の治世の間はほぼ滞在することはありませんでした。
もともとは狩猟小屋として建造されたものですが、中央の本丸を囲むように4つの塔で構成され、部屋は440もあり、階段は74ヶ所もあるという広大な城に改築されました。特に二重らせんの階段は2つの入口からそれぞれ入ると、決して出会うことがないという不思議な構造。
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セゴビアのアルカサル(城)/スペイン
スペイン中央部・セゴビア旧市街の郊外に位置する城。もともとはイスラム教徒によって土台が築かれたとされますが、11〜12世紀にカスティーリャ王国がこの地を支配するようになると、アルフォンソ6世によって城が建造されています。
12〜13世紀のアルフォンソ8世の時代になると王宮として利用され、その後は増築が進み、15世紀にはイサベル1世がここで即位するほどに重要な地となりました。何度か改修され、現在の姿になったのは、19世紀頃。ディズニー映画の『白雪姫』に登場する城のモチーフとなったということで有名です。
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プラハ城/チェコ
プラハは、チェコの首都であり、ボヘミア地方(現在のチェコ一帯)の最大規模の都市。プラハ城はフラチャヌィの丘の上に築かれた広大な城です。
ここには9世紀には既に城壁が築かれていて、10世紀にはプラハ最古の聖イジー聖堂と聖ヴィート教会が建造されます。現在の城のベースとなったロマネスク様式の宮殿は12世紀に建造されました。14世紀になると神聖ローマ皇帝カール4世が王宮をゴシック様式で再建。現在は大統領府が置かれています。
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スピシュ城(スピシュスキー城)/スロヴァキア
スロヴァキアの東部に位置すスピシュスキー城は、東方から侵攻してくるタタール人から防衛するために作られた広大な要塞で、13〜14世紀の東欧の集落の典型的な例。
12世紀に建造され、何度も改築が行われたため、ロマネスク様式の聖堂にゴシック様式、ルネサンス様式、バロック様式などの建築物が加えられていきました。18世紀に火災が発生した後は、廃墟へ。しかし、1961年に文化財に登録され、保護されるようになると1993年には世界遺産に登録されました。
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カステル・デル・モンテ/イタリア
イタリア南東部にあるカステル・デル・モンテは、1240年に学問と芸術を好んだ神聖ローマ皇帝・フリードリヒ2世によって建設された城。天文学や数学などを駆使して、八角形にされており、城は教養が高かったフリードリヒ2世の数学への深い関心が見られます。
城は当時としてはユニークなデザインで、八角形の構造になっており、それぞれの角にはまた八角形の塔が設けられています。実は黄金比を用いられて建設されているという点で、ルネサンスを先取りしたもの。
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ヴァルトブルク城/ドイツ
ドイツ中央部・アイゼナハ郊外の山の上にあるのがヴァルトブルク城。ここは11世紀にテューリンゲン伯によって建造された、後期ロマネスク様式の城です。
19世紀に再建されたものの、邸宅や騎士館などは11世紀の建造当時の姿をよく残します。そして、16世紀にマルティン・ルターがこの城に亡命し、新約聖書のドイツ語訳を行った場所としても有名。
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ホーエンザルツブルク城/オーストリア
ザルツブルクは、ドイツの国境近くにあるザルツブルク州の州都。ホーエンザルツブルク城は、街の南の丘に11世紀に建造された城。神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世とローマ教皇グレゴリウス7世の間に起こった叙任権闘争の結果、当時教皇派であった司教が皇帝派に対抗するために建造しました。
現在見られる城は17世紀後半のものですが、15世紀までは司教の住居として使用されていたものの、それ以降は牢獄や兵舎として使用されたため、保存状態はかなり良好。
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クロンボー城/デンマーク
デンマークとスウェーデンの間のエーレスンド海峡にある要塞の機能を持った城。 バルト海への玄関口であり、たった4kmしかないこの狭い海峡で、15〜19世紀までデンマークはクロンボー城を利用して、海峡を統治していました。
城の構造は、中庭を囲むように4つの建築物を合わさったルネサンス様式のスタイル。クロンボー城は、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』で「エルシノア城」として登場しており、ここでハムレットの演劇公演が行われることも。
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マルボルクのドイツ騎士団の城/ポーランド
マルボルクは、ポーランド北部にあるポモージェ県を流れるノガト川の東岸に13世紀にドイツ騎士団によって建造された町。城は修道院兼要塞として13世紀に設立され、14世紀には騎士団国家の本部となりました。
ここは赤レンガで作られたゴシック様式の城で1万人もの人々を収容でき、武器庫や礼拝堂なども存在。第二次世界大戦で破壊されたものの、再び修復され、当時の雰囲気を残す建造物が今でも存在しています。
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ミール城/ベラルーシ
ベラルーシ西部のミールは、ベラルーシ西部のフロドナ州カレリーチにあるのどかな村。村の名を有名にしているのは、華麗なミール城の存在です。この城は15世紀に建設され、当時はゴシック様式でしたが、やがてルネサンス様式やバロック様式などの要素が加えられていきました。
その後、城は放棄・破壊されたものの、19世紀末には修復され、当時の姿を現在に残しています。現在は博物館となっていて、甲冑や調度品などが展示。
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水原華城/韓国
首都ソウルから南へ35m。京畿道水原市には、石とレンガで構成された壮大な要塞があります。李氏朝鮮第22代国王・正祖はこの地を愛し、父・思悼世子の墓をここへ移動させました。水原華城は、思悼世子の墓を防衛する目的で造られたもの。
6km近くもある城壁は現在も残り、東西南北に壮麗な4つの門が設置され、ヨーロッパの技術も導入された軍事建築として評価されています。
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赤い城(レッド・フォート)/インド
インドの首都デリーの中心部に位置する広大な城で、ムガル帝国の第5代皇帝シャー・ジャハーンが、アーグラから遷都した際に居城としたもの。城は1639〜1648年にかけて建造され、赤い砂岩を使用したことから「赤い城(レッド・フォート)」と呼ばれます。
城内にある建築物はイスラムの建築様式を基本としつつも、ペルシャやヒンドゥー教の影響なども見られます。
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クラック・デ・シュヴァリエ/シリア
クラック・デ・シュヴァリエは、シリア西部にある都市ホムスから西へ約40kmの位置にある城で、1144〜1271年にかけて、騎士修道会の一つ、聖ヨハネ騎士団の本拠地となった場所。
しかし、1271年にはイスラム王朝のマムルーク朝によって攻め落とされ、イスラム様式の城へと改装されます。この頃に礼拝堂はモスクへと変更されました。
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アムラ城/ヨルダン
アムラ城は、首都アンマンから砂漠を越えた位置にあるドーム型の屋根を持つ離宮のこと。8世紀に建造された、ウマイヤ朝時代の要塞であるのと同時に、カリフの隠れ家的存在の建造物でもありました。
浴場ではイスラム教の教義とはほど遠い、裸婦をモチーフにしたフレスコ画など、イスラム教では珍しく世俗的な壁画デザインが見られます。
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エルミナ城/ガーナ
ガーナ南部のベナン湾沿いには、かつて約500kmにも渡って60もの城塞があったとされます。エルミナはセントラル州に位置する港町で、ここには1482年にポルトガル人の建造された城があります。
城はサハラ砂漠以南でヨーロッパ人による最も古い建造物として有名で、16世紀の最盛期は世界における金の10分の1がここから輸出されるというほどに発展。その後、オランダやイギリスによって占領され、独立後、1990年代に改修されて現在に至ります。
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サン=スーシ城/ハイチ
ハイチ北部にあるラフェリエール山の麓のミロという村の近くに築かれた宮殿で、アンリ・クリストフが建国の父デサリーヌを暗殺して王となると、彼の居城として1813年に完成したもの。ここはフランスのヴェルサイユ宮殿をモデルとしていて、豪華絢爛な宮殿から階段状の庭園など、かつてはバロック様式の優雅な建造物でした。しかし、1842年の地震により、深刻な被害を受け、現在は廃墟となっています。
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サン・ペドロ・デ・ラ・ロカ城/キューバ
キューバ東部の岩だらけの岬に築かれた石造りの要塞は、サンティアーゴ・デ・クーバの港を防衛するため、1590年にスペイン王・フェリペ2世によって建造が開始された城塞。
ここはイタリア出身の軍事専門建築家ジョヴァンニ・バッティスタ・アントネッリによって、ルネサンス様式の機能美と堅固さをあわせ持つ、新大陸におけるスペインの軍事建築の傑作でもあります。
世界遺産マニアの結論と感想
世界遺産に登録されているお城は本当に多種多様!美しい外観を持つ城から、どちらかというと要塞のような機能を持つ城までさまざま。とはいえ、どれも世界遺産に登録されているだけあって歴史が深く、それぞれに個性があるので、ぜひディープに楽しんでみてくださいね!
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。