韓国といえば、日本と関係性も深く、若者からお年寄りまで人気の高い旅行先でもありますね。朝鮮半島の南側にあることから、北朝鮮とともに歴代王朝の遺構や建築物などがいろいろと残っていて、それらは世界遺産にも登録されています。そんな韓国の世界遺産はいくつあるでしょうか?
ここでは、韓国の世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
目次
石窟庵と仏国寺
韓国の東部・慶尚北道の慶州(キョンジュ)市は、1〜10世紀に栄えた国家・新羅の首都であった場所。東側に位置する吐含山に残る、石窟庵と仏国寺は8世紀の統一新羅の時代に、当時の宰相・金大城によって建てられたもの。
石窟庵は彼の前世の父母のため、仏国寺は現世の父母のために建設されたものと伝わります。
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海印寺大蔵経板殿
海印寺は、韓国南部の慶尚南道にある伽倻山にある9世紀建造の古刹。「海印」とは、海のように澄み渡る仏の境地などを示す仏教用語で、寺そのものは何度も再建され、現在の本殿は19世紀に再建されたもの。
ここは13世紀に作られた、仏教の経典の集大成である「高麗八万大蔵経」を保管する大蔵経板殿があることで知られます。大蔵経板殿は土間になっていて、湿気が調節できることから、当時の優れた保存技術が見られるという点で評価。
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宗廟
首都ソウルの北側に位置する宗廟は、李氏朝鮮時代の王と王妃の位牌を収めた祖先祭祀場。ここは歴代王にとって彼らの正当性を示すシンボル的存在で、国家の安全を願って儀式が行われていました。
現在の建築物は17世紀から存在し、歴代皇帝の位牌が置かれてます。ここは16世紀から毎年5月に王を祀る宗廟祭礼祭が行われていて、無形文化遺産にも登録。
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昌徳宮
昌徳宮は、ソウル北部の鍾路区に位置し、北漢山の麓に造られた李氏朝鮮時代の離宮。郊外に築かれたものだけあって、中心部の宮殿とは違い、自然を取り入れて造られたという点が特徴。
15世紀初頭に李氏朝鮮の第3代の王・太宗によって築かれた宮殿で、本殿や門などは一部は創建時のまま残されています。宮殿の北側に広がる秘苑と呼ばれる庭園は周囲の自然を見事に取り入れた傑作。
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水原華城
首都ソウルから南へ35m。京畿道水原市には、石とレンガで構成された壮大な要塞があります。李氏朝鮮第22代国王・正祖はこの地を愛し、父・思悼世子の墓をここへ移動させました。水原華城は、思悼世子の墓を防衛する目的で造られたもの。
6km近くもある城壁は現在も残り、東西南北に壮麗な4つの門が設置され、ヨーロッパの技術も導入された軍事建築として評価がされています。
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慶州歴史地域
新羅は、朝鮮半島に紀元前1世紀〜10世紀に栄えた王朝で、韓国南東部にある慶州市は、かつての首都・金城(クムソン)があった場所。
新羅は7〜10世紀にかけて朝鮮半島を統一した時期もあり、ここは王宮があったことから古墳が多く並び、他には寺院や仏塔など、韓国の仏教美術が多く見られる地でもあります。
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高敞、和順、江華の支石墓群
支石墓(ドルメン)は新石器時代から青銅器時代に世界各地に見られ、韓国西部に残る遺跡は紀元前1000年から紀元前100年にかけて建造され、世界でも支石墓が最も密集するエリアでもあります。
これらは2つ以上の石版で構成され、一般的には遺体の上に建てられた埋葬施設であり、先史時代の社会や政治、儀式、芸術などが分かるもの。
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済州の火山島と溶岩洞窟群
済州島は韓国本土の南岸から130kmにある火山島。これらは3つのエリアで構成される世界遺産で、漢拏山(ハルラサン)自然公園、拒文岳(コムノルム)溶岩洞窟系、城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)と、地球規模の火山活動の歴史を示すものとして、評価されています。
東海岸にある城山日出峰は、海底噴火によって、100mほどの高さの断崖が城塞のように直径600mもの火口を囲むという独特の地形。
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朝鮮王陵
かつて朝鮮半島を治めた李氏朝鮮では、15〜20世紀に渡って王や王妃が亡くなると、半島各地で王墓が建造されました。王墓は通常は、北側に山々がある土地に、南側に水が配され、自然の景観を取り入れるように設計されました。
王の遺体は韓国各地に残る王墓に納められ、魂はソウルにある宋廟に祀られるという様式になっていて、これは儒教信仰に基づく先祖崇拝を示すもの。
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大韓民国の歴史的村落:河回と良洞
安東市の河回村と慶州市の良洞村は、李氏朝鮮時代を代表する2つの氏族村です。山々に囲まれたこれらの村は14〜15世紀に建造され、ここには当時の王朝の中でも有力貴族だった両班(ヤンバン)が住み、建築物は風水と儒教を取り入れたもの。
彼らによる伝統的な生活様式が現在も見られ、平屋の邸宅が続く美しい農村風景は17〜18世紀の詩人たちによって評価されてきました。
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南漢山城
南漢山城は、ソウルの南東25kmの山岳地帯に位置し、14〜20世紀に繁栄した李氏朝鮮王朝時代に臨時首都にもなるように設計されたもの。現在見られる山城は17世紀に当時の清国が韓国へと侵攻した際に防衛を目的として整備されました。
ここは当時最先端の武器である西洋式火薬からの防御に備えていて、日本と中国の築城技術が取り入れられています。そして、南漢山城は韓国内の要塞建築にも影響を与えました。
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百済歴史地域
百済は朝鮮半島の三国時代(4〜7世紀ころ)の西部に存在した国家。韓国の中西部の山岳地帯は、百済後期の熊津時代(475〜538年)、泗沘時代(538〜660年)に渡って首都が置かれた場所で、8つの考古学遺跡で構成されています。
これらの遺跡は百済後期の繁栄を示し、中国や日本など古代の東アジアの王国間の芸術の交流が見られるもの。
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山寺(サンサ)、韓国の山地僧院
韓国における山寺とは、山岳僧院を指し、国内には多く存在。ここでは韓国の仏教において信仰や修行、共同体の居住空間が一体化している寺院もあります。そして、7〜9世紀にかけて創建された7つの寺院が世界遺産に登録。
これらは、仏殿やあずまや、講堂、宿舎に囲まれた、屋根のない中庭である「マダン」という韓国特有の庭園を持ち、現在でも信仰が守られ、その伝統が守られています。
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書院、韓国の性理学教育機関群
書院とは、中国の唐の時代(618〜907年)に中国で発展した学校や私塾にあたる施設で、やがて科挙の予備校的存在として発展していきました。
性理学とは、宋の時代に由来する儒学の一種で、人間の本質「性」と宇宙の「理」を明らかにするというもの。これらは中国の性理学が韓国へと伝来した過程を示すという点で評価されています。
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ゲボル(韓国の干潟)
現地の言葉で干潟は「ゲボル」と呼ばれ、韓国の南西部には新安干潟・高敞干潟・宝城-順天干潟・舒川干潟という、4つの干潟があります。ここは約2万年前に韓国の西側に広がる黄海の海水面が上昇し、約7000年前に海水面の上昇速度が遅くなったことから、海岸線に堆積物が残るようになり、世界でも珍しい地形が形成されたという仕組み。
干潟には絶滅危惧種を含む2150種の動植物が見られます。そして、合計で118種もの渡り鳥が見られ、ここは渡り鳥の重要な生息地として有名。
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伽耶古墳群
伽倻とは、1〜6世紀に朝鮮半島の中南部に存在した、小国が並ぶエリアのこと。この地には多くの小国が存在し、600年の間に数十万基もの古墳が築かれた地でもありました。その中でも7箇所が登録。
特に世界遺産に登録されているエリアは伽倻の形成期から熟成期まで多くの古墳が並び、副葬品も出土しているという点で重要なものです。
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世界遺産マニアの結論と感想
韓国の世界遺産は文化遺産が14件、自然遺産が2件と、合計で16件が登録されています。ソウルとチェジュ島、慶州以外はそれほど有名な観光地ではないのですが、韓国の歴史を感じさせる遺産も多いので、ぜひ興味が出たら訪れてみてくださいね!
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。