フランスの世界遺産の数は合計で53件と、世界でも第4位の保有国!パリのエッフェル塔、ヴェルサイユ宮殿、モン=サン=ミシェル…誰もが知る観光地はもちろん世界遺産であり、それ以外はどんな世界遺産があるのでしょうか?
ここでは、フランスの世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
目次
モン=サン=ミシェルとその湾/1979年登録
フランス北西部マンシュ県の南部にあるサン・マロ湾は、潮の満ち引きが激しい湾。広大な砂州の中にある岩山にそびえるのが、モン=サン=ミシェルの修道院です。11〜16世紀の間に自然環境に対応しながら、少しずつ拡大していった修道院は「聖なる山」として巡礼者が多く訪れる聖地。
修道院はノルマン様式、ロマネスク様式、ゴシック様式など、各時代のさまざまな建築様式が見られるのも特徴です。
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シャルトル大聖堂/1979年登録
シャルトルはフランスの北西部にある都市で、ウール=エ=ロワール県の県庁所在地。ここは古来より聖地として崇拝されていて、既に4世紀には教会が建造されていたとされています。
現在の大聖堂は12〜13世紀に再建されたもの。ここは保存状態の良いステンドグラスがあることで知られ、扉口の壮麗な彫刻はフランス・ゴシック建築の最高峰として有名です。
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ヴェルサイユの宮殿と庭園/1979年登録
パリから南西へ22kmの距離にあるイヴリーヌ県ヴェルサイユには、ルイ14世からルイ16世まで暮らした豪華な王宮があります。建設が完了したのは18世紀になってからで、贅を尽くした宮殿はヨーロッパで最も優雅な宮殿となり、フランス・バロック様式の最高傑作となりました。
庭園はルイ14世もお気に入りで「王の庭園鑑賞法」という世界初のガイドブックを作り、庶民でも楽しめるようにするというのも庭園の目的でもありました。
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ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群/1979年登録
ヴェゼール渓谷は、フランス南西部・ドルドーニュ県のレゼイジ=ドゥ=タイヤック=シルイユからモンティニャックまで広がる約40kmほどのエリアを指し、ここには先史時代の147の遺跡と25の装飾された洞窟が点在。
特に1940年に発見されたラスコー洞窟の壁画が有名。これらは狩猟の様子が生き生きと描かれていて、先史時代の芸術品とも呼べるもの。
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フォンテーヌブローの宮殿と庭園/1981年登録
パリから南西に約70km。フォンテーヌブローの広大な森には、12世紀からこの地に狩猟用の小屋があり、歴代の王のお気に入りの場所でもありました。
16世紀にはフランソワ1世によって豪華絢爛な宮殿が建設。広大な庭園に囲まれた宮殿は、ルネサンス様式とフランスの伝統様式が融合しているというのが特徴です。
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アミアン大聖堂/1981年登録
アミアンは、オー=ド=フランス地域のソンム県にある街。この街のシンボル的存在が、ノートルダム大聖堂。ここは13世紀に建造されたフランス最大級のゴシック様式の大聖堂です。
身廊のヴォールト(アーチ型天井)の高さは42.30mもあり、これもフランス最大。西側のファサードはゴシック建築の傑作とされるほどに、美しい装飾が施されています。
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オランジュのローマ劇場とその周辺及び「凱旋門」/1981年登録
フランス南東部プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏にあるオランジュは人口3万人の小さな町。ここは古代ローマ時代から存在し、町には1世紀に初代皇帝アウグストゥスが建造したローマ劇場が今でも現存。
さらに町の北部に残る凱旋門のレリーフには当時この地に暮らしていたガリア人が鎖で繋がられたデザインもあり、これはローマ帝国によってこの地が征服されたことを示すレリーフでもあります。
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アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物群/1981年登録
フランス南部のプロヴァンス地方のアルルは紀元前2世紀に共和制ローマによって支配されるようになると、ローヌ川の河口に位置することから、ローマの商業の拠点となりました。
ここはローマ皇帝コンスタンティヌス1世が愛した地であり、キリスト教世界において重要な都市になりました。中世にはサン=トロフィーム教会が築かれ、特に入口のタンパンにある『最後の晩餐』の彫刻で有名です。
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フォントネーのシトー会修道院/1981年登録
フォントネーのシトー会修道院は、ブルゴーニュ地方のモンバールの郊外に位置する修道院。ここは1118年に聖ベルナルドによって設立されたシトー会最古の修道院です。
ここは彫刻やステンドグラスといった華美な装飾はなく、禁欲的な生活を過ごした修道会の理想を見事に表現したもの。
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サラン=レ=バンの大製塩所からアル=ケ=スナンの王立製塩所までの煎熬塩の生産/1982年登録(2009年拡大)
フランス東部のドゥー県に位置するアル=ケ=スナンには、1982年に世界遺産に登録された製塩所があります。ここは王室建築家クロード・ニコラ・ルドゥによって18世紀に設計され、円形に施設を配置して効率化を目指した革新的なデザインで後の工業都市のモデルになったもの。
南東にあるサラン=レ=バンの大製塩所は中世以前に設立された歴史の深い製塩所で、塩分濃度の高い地下水を利用して塩が採掘され、1962年に閉鎖するまで1200年に渡って稼働していました。
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ナンシーのスタニスラス広場、カリエール広場、アリアンス広場/1983年登録
フランス北東部に位置するロレーヌ地方はドイツ国境の近くに位置し、ナンシーはこの地方の中心都市で、ロレーヌ公国(959〜1766年)の首都でもありました。
街にはフランス王ルイ15世の義父であるローレヌ公スタニスラス・レシチニスキーの命によって18世紀に整備され、彼によって3つの広場が築かれました。特にスタニスラス広場は宮廷建築家エマニュエル・エレによって設計された、バロック様式の市庁舎、凱旋門、劇場が並ぶという美しい広場です。
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サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会/1983年登録
ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏にあるサン=サヴァンという小さな町は、5世紀に殉教した聖サヴァンゆかりの地で、サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院は、9世紀にカール大帝の秘書官だったバディウスによって設立されたとされるもの。
ここには11世紀に再建されたロマネスク様式の付属教会があり、身廊の天井には「ノアの方舟」など旧約聖書の物語が36場面も描かれ、ロマネスク様式の絵画の傑作が並ぶという点で評価されています。
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ポルト湾:ピアナのカランケ、ジロラータ湾、スカンドーラ自然保護区/1983年登録
フランス本土から離れた位置にあるコルシカ島は、フランスの文豪モーパッサンが「海からそびえる山」と称したほどに標高の高い山々が点在する島。コルシカ島の西部にあるポルト湾は、断崖に囲まれた広大なエリアで自然保護区となっています。
周囲は固有種であるマギーで囲まれ、生物が多く生息する豊かな海域にはそれを狙ったさまざまな鳥類が訪れることで有名です。
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ポン・デュ・ガール(ローマ水道橋)/1985年登録
フランス南部・ガール県のガール川にかかる橋で、古代ローマ時代に建造されたもの。ここはユゼスという水源地からネマウスス(現在のニーム)へと水を運ぶために築かれた約50kmもの長さがある水路の一部で、世界遺産として登録されているのは、約275mの水道橋部分。ここは1世紀に古代ローマの政治家であったアグリッパが建造を命令して築かれたもの。
橋は3層のアーチで構成された優美なデザインで、ローマの建築家によって築かれた高度な建築技術が今も見られます。
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ストラスブール : グラン・ディルからノイシュタットまでの欧州都市の一風景/1988年登録(2017年拡大)ポン・デュ・ガール(ローマ水道橋)ストラスブール : グラン・ディルからノイシュタットまでの欧州都市の一風景/1988年登録(2017年拡大)
フランス北東部のバ=ラン県の県庁所在地であるストラスブールは、ドイツ語に近いアルザス語で「街道の街」という意味。
「グラン・ディル」とは旧市街一帯を示します。旧市街は、ゴシック様式とロマネスク様式が見られるノートルダム大聖堂がシンボル。他にも16〜17世紀の町並みを残すプティット・フランスにはハーフティンバー様式のドイツ風の家々が並んでいます。
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パリのセーヌ河岸/1991年登録
パリ中心部のセーヌ川に点在する建築物は、この街の発展と2000年を超える歴史を見ることができます。登録されているのは、東はサン・ルイ島から西はシャイヨー宮まで。
ここにはノートル・ダム大聖堂やルーブル美術館、エッフェル塔など、セーヌ川沿いに並ぶ建築物からパリの街の発展が見られます。19世紀後半にセーヌ県知事オスマンがパリを大改造し、近代的都市へと造り変え、その美しい町並みは世界中の都市設計に影響を与えました。
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ランスのノートルダム大聖堂、サン=レミ旧大修道院、トー宮殿/1991年登録
ランスはフランス北東部のマルヌ県の都市で、首都パリから北東へ約130km。街の起源はローマ時代に遡るほどに古い街で、5世紀にはメロヴィング朝フランク王国の領土に。フランク王国のクローヴィス1世がここで戴冠して以来歴代の王が戴冠式が行われてたことにより、フランス王家の聖なる都市とされていました。
現在の大聖堂は13世紀に建造されたゴシック様式の傑作で、クローヴィスに洗礼を授けたとされる聖レミギウスの墓があるサン=旧大修道院、大司教の邸宅であったトー宮殿も合わせて登録。
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ブールジュ大聖堂/1992年登録
フランス中部サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏にあるブールジュには、3世紀には既にキリスト教が伝わっていて、現在の大聖堂があった場所には礼拝所があったとされています。ここは12世紀後半〜13世紀後半にかけて建造されたゴシック様式の大聖堂。
内部にはさまざまな時代のステンドグラスの窓があり、入口には『最後の晩餐』のレリーフがあることで有名。ここでは中世フランスにおけるキリスト教の信仰心の強さが見られます。
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アヴィニョン歴史地区:教皇庁、大司教座総体およびアヴィニョン橋/1995年登録
フランスの南東部に位置するアヴィニョンは、ヴォクリューズ県の県庁所在地。歴史地区はローヌ川の右岸に広がっていて、ここは世界史でもおなじみ「アヴィニョン捕囚(1309〜1377年)」時代に教皇庁が置かれた場所で、カトリック世界の中心でもあった場所。
歴史地区には、教皇宮殿、プチ・パレ、ノートルダム・デ・ドン大聖堂、12世紀にかけられたサン・ベネゼ橋など、14世紀当時のヨーロッパの中心地であった名残が見られます。
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ミディ運河/1996年登録
フランス南西部のトゥールーズから地中海に面したトー湖まで続く全長約360kmの運河で、1667〜1694年の間に建造されたもの。フランスはこの運河の完成により、産業革命への道を開いたとも言えるほどでした。
この運河を建設したのは、17世紀に塩税徴収人として財を成したピエール=ポール・リケ。運河には水門、水道橋、トンネルなどが今も残り、さまざまな建築技術の集合体でもあります。
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ピレネー山脈のモン・ペルデュ(スペインと共同)/1997年登録(1999年拡大)
フランスとスペインの国境に位置するピレネー山脈の中央部にあるペルデュ山は、フランス語ではモン・ペルデュ、スペイン語ではモンテ・ペルディードと呼ばれ、「失われた山」や「迷子の山」といった意味を持ちます。
この地では古くから放牧が続けていて、伝統的な農牧畜を中心とした暮らしが今でも見られるという点で評価。
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歴史的城塞都市カルカソンヌ/1997年登録
カルカソンヌ市は、フランス南西部のオード県の県庁所在地。一般的に「カルカソンヌ」といえば、現在の都市全体を指し、南東部に広がる城塞都市は「カルカソンヌ=シテ」と呼ばれています。
ここは古代ローマ時代から城壁が建造され、13世紀には現在の町並みになったものの、17世紀にピレネー条約が結ばれて以降は重要度が下がりました。19世紀〜20世紀前半には大幅に改築され、美しい景観から現在では国内でも有数の観光地に。
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リヨン歴史地区/1998年登録
都市圏としてはフランス第2の人口を誇るリヨン。ソーヌ川とローヌ川の合流地点にあるリヨンの旧市街は、西のフルヴィエールの丘からソーヌ川を挟んでクロワ・ルースの丘の間に築かれた都市を指します。
街としての起源は紀元前1世紀に遡り、ヨーロッパの政治、文化、経済の発展に需要な役割を果たしてきました。中心部は、2000年の歴史を示す建造物が多く並んでいます。
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フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路/1998年登録
「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」とは、スペイン北西部にある中世キリスト教三大巡礼地のひとつ。サンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かうには巡礼者はフランスを経由して訪れる必要があり、4つの巡礼道が利用されてきました。
北から「トゥールの道」「リモージュの道」「ル・ピュイの道」「トゥールーズの道」と、その周辺にある大聖堂や教会、橋などが世界遺産に登録。
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ベルギーとフランスの鐘楼群(ベルギーと共同)/1999年登録(2005年拡大)
ベルギーのワロン地方とフランドル地方、そしてフランス北部には、11〜17世紀に建造された美しい鐘楼が多く点在しています。鐘楼は監視塔や刑務所としての機能もあり、権力と富のシンボルでもありました。
もともとは1999年に「フランドル地方とワロン地方の鐘楼群」としてベルギー各地の32の鐘楼が登録されましたが、2005年にフランス北部にある23の鐘楼が追加で登録されました。
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サン=テミリオン地域/1999年登録
フランス南西部にあるヌーヴェル=アキテーヌ地域圏は、ワインの生産地として有名。サン=テミリオンは首府であるボルドーの北東へは約35kmの距離に位置し、周囲は温暖な気候であることから、水はけもよく、ブドウの栽培に適した地で、ローマ時代からワイン造りが行われてきました。
11世紀以降は教会や修道院、宿泊施設が建設され、巨大岩を削って建造したモノリス教会などがあることでも有名です。
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シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷/2000年登録
パリから南へ約160kmの位置にあるシュリー=シュル=ロワールからフランス西部のシャロンヌまで、約300kmものロワール川沿いのエリアが登録。
川沿いには300を超える古城が点在。ここは「フランスの庭園」とも呼ばれるほど、城と庭園が織りなす美しい風景が広がっています。
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中世市場都市プロヴァン/2001年登録
セーヌ=エ=マルヌ県の南東部に位置するプロヴァンは、かつてのシャンパーニュ地方の中心都市。11世紀になり、シャンパーニュ伯の領土となると、ここは「シャンパーニュの大市」が開催され、北からはフランドル地方の毛織物、南方からはイタリアの香辛料やスペインの革製品、そして、特産品であるワインなど、多くの品々が集まりました。
かつて定期市が開かれたサン・タユール教会や庭園など、中世の商業都市の名残が現在も見られます。
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オーギュスト・ペレによって再建された都市ル・アーヴル/2005年登録
ル・アーブルは、セーヌ=マリティーム県の県庁所在地で、北フランスでも最大規模の港湾都市でもあります。ここは1944年のノルマンディー上陸作戦の際に町は爆撃されてしまい、中心街は廃墟になったため、新古典主義の建築家オーギュスト・ペレによって1945〜1964年にかけて再建されました。
ここは歴史的建造物や町並みを残しつつ、幾何学的な都市の構造やプレハブ、コンクリートを使って再建していったという革新的な都市計画が見られ、世界各地の都市復興計画に影響を与えました。
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月の港ボルドー/2007年登録
フランス南西部にあるジロンド県の県庁所在であるボルドーは、「ボルドーワイン」の出荷港として有名な都市。南北を貫くガロンヌ川は中心部で三日月型に歪曲し、その部分が港として発展したことから「月の港」と呼ばれます。
12世紀から交易都市として発展すると、18世紀に新古典主義の都市計画によって現在の町並みが形成。美しい宮殿が並ぶブルム広場はボルドーを代表する風景となっています。
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カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林(他ヨーロッパ17ヶ国と共同)/2007年登録(2011・2017・2019年拡大)
ヨーロッパブナは、北はスウェーデン南部から南は地中海岸、西はポルトガル、東はトルコまで広がっていて、氷河期後期には、ヨーロッパの約40%はヨーロッパブナ(ファグス・シルヴァティカ)の林が広がっていました。登録エリア各地にはブナの原生林が広がっていて、ヨーロッパブナの原生林としては世界最大の規模を誇ります。
フランスとしての登録範囲は、北東部のグラン・ヴァントロン山や南東部のアルプス山脈のショダン、ピレネー山脈にあるマサヌの森国立自然保護区など、3箇所が含まれています。
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ヴォーバンの防衛施設群/2008年登録
セバスティアン・ル・プレストル・ド・ヴォーバン(1633〜1707年)は、ルイ14世に仕えた軍事技術者。彼は軍人でもあったのですが、築城の名手でフランス元帥になった人物です。
彼によって建造された防衛施設は今でもフランスに点在していて、稜堡式要塞や都市の城壁など12箇所が登録されています。これらは17〜18世紀の典型的な軍事建築で、ヨーロッパだけではなく、日本を含めた世界各地の軍事建築に影響を与えたもの。
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ニューカレドニアのラグーン:サンゴ礁の多様性と関連する生態系/2008年登録
フランスの海外領土であるニューカレドニアは、南太平洋に浮かぶグランドテール島(本島、ニューカレドニア島とも)を中心としたエリア。世界遺産としてはラグーンなどを含んだ6つの海域が登録されていて、島を囲む広大な珊瑚礁は世界でも2番目に長さを誇る珊瑚礁となっています。
ここでは146種のサンゴが見られ、絶滅危惧種のウミガメやジュゴンも生息。特にサンゴの化石は、南太平洋の自然史を知るのに貴重な資料になっています。
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アルビの司教都市/2010年登録
フランス南西部のタルヌ県の県庁でもあるアルビ。中世になると、ローマ・カトリックからは異端とされたカタリ派(アルビジョア派)の拠点となり、1208年にローマ教皇とフランス王が共同で結成したアルビジョワ十字軍によって征服されると、南仏はフランス王国領に組み込まれ、アルビはカトリックの司教が支配する都市へと代わりました。
現在も司教が住んだベルビ宮殿、世界最大のレンガ造りの建造物であるサント・セシール大聖堂、ポン・ヴィユー(古い橋)など、中世当時の建造物がそのまま残されています。
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コースとセヴェンヌの地中海農牧業の文化的景観/2011年登録
フランス中南部のオクシタニー地域圏に属する4つの県にまたがっていて、合計で3000平方kmにも及ぶ広大な敷地が登録されています。コース地方とセヴェンヌ山脈は3000年以上に渡って、地中海性気候に合わせた農業と牧畜業によって築かれてきた景観が続くエリア。
ここには石造りの農家や11世紀建造の修道院があり、特にロゼール山の麓にあるモン・ロゼールは伝統的な移牧が今でも行われています。
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アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群(スイス・イタリア・ドイツ・オーストリア・スロベニアと共同)/2011年登録
ヨーロッパのアルプス山脈周辺の6ヶ国には、紀元前5000〜500年の先史時代に湖や河川、湿地帯に杭上住居跡が111箇所も残り、これらは水没していたために保存状態が非常に良好。これらは新石器時代から青銅器時代の人々の生活が見られる遺跡となっています。
フランスでは、南東部のスイス国境近くに11箇所が登録されています。
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ノール=パ・ド・カレーの炭田地帯/2012年登録
フランス北部、ベルギーとの国境に近いノール県とパ・ド・カレー県の1200平方kmもの広大な地域が世界遺産に登録。この地域は石炭や鉄鉱石の産地としても有名です。
ここには109もの構成資産が点在し、これらは1700年代から1900年代に至るまで、採掘坑やクレーン、石炭を運ぶ施設、鉄道駅、労働者の団地、学校、公共施設などが並びます。これらは近代の工業都市のモデルであり、ヨーロッパの産業史においては重要なもの。
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ショーヴェ=ポン・ダルク洞窟とも呼ばれるアルデシュ県ポン・ダルクの装飾洞窟/2014年登録
フランス南西部のアルデシュ県にあるヴァロン=ポン=ダルクという小さな村から東へ約5km。石灰岩で形成された高原の地下には洞窟があり、ここにはオーリニャック期(紀元前4万3000〜2万8000年)に描かれた壁画が発見されたことで有名。
1000を超える壁画には、おもに動物をモチーフにしたものが描かれ、ヨーロッパでは絶滅した動物なども見られます。
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ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ/2015年登録
ブルゴーニュ地方は、ボルドーと並ぶフランスワインの産地で、世界的に有名なワインの銘柄がここで作られることでも知られます。この地の特徴は、ブドウ畑の区画である「クリマ」の存在で、クリマを所有するワイン生産者によってそれぞれ地質と日照時間、ブドウの品種が異なるというもの。
世界遺産としては、この地方の中心都市のディジョンから南へ広がるコート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌの丘陵地が登録されていて、これらは行政も参加したブドウ栽培とワイン生産を含めて文化的景観となっています。
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シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ/2015年登録
フランス北東部の地下は白亜が広がる地で、ローマ時代は洞窟などが掘られ、中世になると修道院が建造されていきました。すでにワインはローマ時代から存在していましたが、17世紀になると修道士ドン・ペリニヨンが発泡性の白ワインである「シャンパン」を開発。
オーヴィレール、アイ、マルイユ=シュル=アイの歴史的丘陵地、ランスのサン=ニケーズの丘、エペルネーのシャンパーニュ大通りなどの3つの構成資産が登録され、ここはメゾン(醸造所)とカーヴ(貯蔵庫)を含む、シャンパンに関連する景観が広がっています。
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ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献(他6ヶ国と共同)/2016年登録
ル・コルビュジエ(1887〜1965年)は、近代建築の三大巨匠の一人として有名。数多くある作品の中でも7ヶ国17の建築物が登録されていて、これはそれまでのヨーロッパの建築とは異なり、彼自身が半世紀以上かけて磨いていった新しい概念が導入されたもの。
彼自身がパリに事務所を構えたということもあり、フランス国内には10件も登録されていて、彼の代表作のサヴォア邸やロンシャンの礼拝堂などが登録。
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タプタプアテア/2017年登録
ライアテア島は、フランス領ポリネシアのソシエテ諸島に含まれる島。リゾート地で有名なタヒチ島に次ぐ規模を持つ島で、タヒチ島からも近い距離にあります。神話ではポリネシア人発祥の地とされていて、タプタプアテアは政治と宗教の中心地として崇められていました。
ここはマラエと呼ばれる祭祀場があり、戦いと豊穣の神であるオロ神を祀っていて、神と祖先と出会える聖地とされていました。登録されているのはマラエだけでなく、周囲のラグーンや渓谷などで構成される文化的景観でもあります。
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ピュイ山地とリマーニュ断層の地殻変動地域/2018年登録
フランス中央部のピュイ=ド=ドーム県にあるリマーニュ断層の地殻変動地域は、約3500万年前にアルプス山脈が形成された際の余波によって作られた西ヨーロッパを代表する地溝帯が見られます。
ここはリマーニュ断層、ピュイ・ドゥ・ドームなどのピュイ火山群、セール山の逆転地形(新旧地層が逆転している地形)の3つで構成されています。
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フランス領南方地域の陸と海/2019年登録
フランス領ではありますが、インド洋南部に位置する「フランス領南方・南極地域」の一部は世界遺産に登録されてます。南緯37度線と50度線の間に位置するクローゼー諸島、ケルゲレン諸島、サンポール・ヌーヴェル・アムステルダム諸島、他にも60もの小さな亜南極諸島で構成。
ここは67万平方kmに及ぶ敷地が含まれ、人間の活動エリアから遠く離れていることから鳥類や海洋哺乳類が世界で最も生息する場所の一つ。特にオウサマペンギンとアホウドリの生息数が世界で最も多いエリアでもあります。
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ヨーロッパの大温泉保養都市群(ドイツ・オーストリア・ベルギー・フランス・イギリス・チェコと共同)/2021年登録
ヨーロッパ各地には無数の温泉地がありますが、7カ国11箇所の温泉地が世界遺産に選ばれています。これらは1700年頃から1930年代に繁栄した国際リゾート地で、この頃のヨーロッパの温泉街の中でも特に発展した都市。
フランスで登録されているのは「ヴィシー」。ここは温泉保有地で、19世紀に再開発が行われ、巨大なカジノなどが建造されました。ミネラルウォーターのブランドでも有名。
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コルドゥアン灯台/2021年登録
フランス南西部ジロンド県に位置する灯台で、ジロンド川が作り出す干潟に造られたもの。ここは大西洋を行く船の為に使用されていた灯台でした。付け柱や彫刻などで装飾された高さ67.5mの灯台は、今でも現役で使用されています。
17世紀に建造された壮麗な塔は、18世紀後半に大幅に改築され、世界でも最先端技術が施された機能的な灯台へと変化。ここは灯台の建築史において非常に重要なものとなっています。
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リヴィエラの冬季行楽都市ニース/2021年登録
ニースは、イタリアの国境にほど近いアルプ=マリティーム県の県庁所在地。ここは一年中暖かい気候のため、18世紀からイギリスの富裕層が冬に暖かい気候を求め、リゾート地として多く訪れるようになりました。
海岸沿いの遊歩道「プロムナード・デ・ザングレ」など、ここを訪れる人々のために作られた建築物などを含めた都市開発が行われた地でもあります。
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プレー山およびマルティニーク北部の火山・森林群/2023年登録
フランスの海外領土であるマルティニーク島は、カリブ海に浮かぶ西インド諸島南部の小アンティル諸島に属する島。森林地帯には多くの動物や植物が見られ、標高800mでも森林が続き、標高1100mになると、シダやパイナップル科の植物が見られる乾燥地帯が続くといった豊かな環境です。
ここは過去に一つの街を破壊するほどの大噴火が発生したプレー山を含む火山島ではありますが、森林地帯が広がっていて、動植物ともに固有種が豊富なのが特徴。
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第一次世界大戦(西部戦線)の追悼と記憶の場(ベルギーと共同)/2023年登録
西部戦線とは、第一次世界大戦にて、連合国とドイツ帝国によって、ベルギー南部からフランス北東部にかけて戦線が置かれたことから名付けられたもの。ここでは塹壕が多く掘られ、何年にも渡って激戦が繰り広げられたことから死者が増大。
この地は連合国とドイツ帝国との戦地ではあったものの、各地に墓や記念碑などが築かれていき、死者は平等に埋葬され、その追悼と記憶を今でも伝え続けています。
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ニームのメゾン・カレ/2023年登録
フランス南部のニームはガール県の県庁所在地であり、古代ローマ時代からの歴史を誇る都市。もともとはローマ人の村にあった泉「ネマウスス」という名前が起源とされ、紀元前1世紀には既にローマ帝国の植民都市でありました。
メゾン・カレは紀元前1世紀建造の神殿であり、教会や会議場などに転用されつつも、現代まで改修されながら保存されている貴重な建造物でもあります。
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テ・ヘヌア・エナタ(マルキーズ諸島)/フランス
マルキーズ諸島(マルケサス諸島)は、南太平洋に浮かぶ12の火山島群で、これらはフランス領ポリネシアに属しています。ここは赤道に近く、オーストラリア大陸から約5700km、アメリカ大陸から約6000kmと、世界でも最も孤立した島群の一つで、陸地面積は1050平方kmであるにもかかわらず、海洋面積は70万平方kmも広がっています。
ここは太古にアジアから渡ってきたポリネシア人が長い年月を経て辿り着き、今でも残る建築物や風習などは、彼らによって独自の文化が築かれてきたことを示しています。
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世界遺産マニアの結論と感想
フランスの世界遺産は文化遺産が44件、自然遺産が7件、複合遺産が2件と盛りだくさん!ヴェルサイユ宮殿やパリの優雅な建造物など、誰もが思い浮かべるフランスのイメージがありますが、それだけなく、大聖堂や産業遺産、ワイン畑まで、ありとあらゆるものが世界遺産に登録されているので、ぜひディープに楽しんでみてくださいね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。