イギリスといえば、かつては大英帝国として世界中に植民地を持ち、最先端の文化や技術が集まる場所でした。ストーンヘンジやビッグベン(ウェストミンスター宮殿)…と誰もが知る有名な世界遺産が多いですが、実は33件もあるって知っていました?
ここでは、イギリスの世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
目次
グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁/1986年登録
ウェールズ北西部・グウィネズ州と周辺にある、ビューマリス城、カーナーヴォン城、コンウィ城、ハーレフ城の4つと、それに付随する要塞都市を含めて世界遺産に登録。グウィネズ地方は、13世紀にイングランドがウェールズへと侵攻し、この地の支配権を得たものの、抵抗が続いていたために、当時の国王であったエドワード1世はこの地に、アイアンリング(鉄の輪)と呼ばれる10の城を建造しました。
城の設計は城郭建築家のセント・ジョージのマスター・ジェイムズによるもので、当時の軍事建築の中でも非常に優れていました。
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ダラム城と大聖堂/1986年登録
ダラムは、イングランド北東部に位置し、スコットランドとの国境近くにある街。大聖堂と城は、ウェア川に沿って形成された小高い丘の上にあります。
ダラム大聖堂は11世紀後半〜12世紀初頭にかけて建設されました。大聖堂はイギリスで最大規模のノルマン建築で、アーチ天井の走りであるゴシック様式も含まているのが特徴。近くにあるダラム城は、ノルマン朝時代の要塞をダラム司教の邸宅に作り変えたもので、現在は大学の学生寮になっています。
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アイアンブリッジ峡谷/1986年登録
アイアンブリッジの渓谷はイングランド西部のシュロップシャー・テルフォード郊外にあり、セヴァーン川沿いに位置する渓谷のこと。登録されているのは、世界初の鉄橋(アイアンブリッジ)を中心としたセヴァーン渓谷沿いに5.5平方kmの範囲。
1709年に工場主エイブラハム・ダービー1世によって銑鉄の大量生産が可能となると、彼の孫が全長60mの鉄橋をこの地に建設。ここは産業革命の技術と建築の発展に大きな影響を与えました。
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ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡/1986年登録
ブリテン島の南西部にあるウィルトシャーにあるストーンヘンジは国内のストーンサークルを代表するもの。近くにあるエーヴベリーは世界最大のストーンサークルでもあります。
これらは紀元前30世紀〜紀元前10世紀の約2000年の間に建造されたものではありますが、建造時期も諸説あります。まだまだ謎が多いですが、新石器時代から青銅器時代にかけて儀式が行われた場所とされ、当時の生活習慣などが分かるものとして評価。
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ファウンテンズ修道院遺跡群を含むスタッドリー王立公園/1986年登録
イングランド北部にあるノース・ヨークシャー州にあるスタッドリー王立公園は、18世紀に政治家のジョン・エイズラビーと息子のウィリアムによって造園・整備された、英国式の風景式庭園。ここは12世紀に建造されたファウンテンズ修道院があり、現在は廃墟となっていますが、かつてはヨーロッパでも最大規模のシトー会の修道院でした。
現在はナショナル・トラストという歴史建造物などを保護する民間団体によって管理されています。
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ジャイアンツ・コーズウェーとコーズウェー海岸/1986年登録
ジャイアンツ・コーズウェーとは、北アイルランド北部の海岸沿いに並ぶ4万もの巨大な玄武岩の石柱群のこと。玄武岩の石柱が重なり合い、まるで海へ向けて道を作っているかのような形になっています。これはケルト神話に由来するもので、神話ではアイルランドの巨人フィン・マックールがスコットランドへ行く際にこの道を作ったことから「巨人の道」と呼ばれました。
コーズウェー海岸には、このような地形を柱状節理が続き、観光地としての歴史が長いのも特徴。
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セント・キルダ諸島/1987年登録
ブリテン島本土から北西へ約180km。北大西洋に浮かぶセント・キルダ諸島は6500〜5200万年に形成された火山島です。ヨーロッパでも最高峰の崖が続くという地形で、高さは約400m近いものも点在。ここは絶滅危惧種のパフィン(ニシツノメドリ)やカツオドリなど海鳥の繁殖地でもあります。
最大の島・ヒルタ島には新石器時代の遺跡も存在し、複合遺産として登録されています。
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バース市街/1987年登録
イングランド南西部サマセット州にあるバースは、1世紀にここを支配していたローマ人によって温泉地が造られたことが起源。中心部には大浴場や神殿などが並び、温泉街として発展しました。
18世紀初頭のジョージ王朝時代には、新古典主義様式の美しい建築物とローマ式の浴場など、優雅な町並みが形成され、その保存状態は良好。
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ローマ帝国の国境線(ドイツと共同)/1987年登録(2005年・2008年拡大)
イングランドとスコットランドとの国境近くに位置するハドリアヌスの長城。これは122年にローマ帝国・五賢帝の一人、ハドリアヌス帝によって、属州ブリタニアの最北端に築かれたもの。長城は東海岸のニューカッスル・アポン・タインから西海岸のカーライルまでの約118kmにも及び、壁の高さは4〜5mで、6kmの間隔で要塞が置かれました。そして、その北方にある60kmのアントニヌス・ピウスの長城も2005年に追加で登録。
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ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院(アビー)と聖マーガレット教会/1987年登録
イギリスの首都ロンドン中心部の西側、テムズ川沿いにあるウェストミンスター地区。ここには、11世紀にエドワード懺悔王が王宮と宮殿を設置して以来、イギリスの政治と宗教の中心となった場所です。
ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院、聖マーガレット教会という、英国王室に関連する宮殿や教会などが並んでいます。ウェストミンスター宮殿の「ビッグベン」はロンドンのシンボル的存在。
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ブレナム宮殿/1987年登録
ブレナム宮殿は、首都ロンドンから北西約90kmの位置にあるウッドストックに造られた広大な宮殿。ここは、1704年に現在のドイツで行われたブレンハイムの戦いで活躍したジョン・チャーチルに与えられた土地。
これらは英国バロックを代表する建築物で、庭園はランスロット・ブラウンによって風景式庭園(イギリス式庭園)に造り変えられたもの。この庭園様式はヨーロッパだけではなく、世界に影響を与えたことで評価されています。
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カンタベリー大聖堂、聖オーガスティン修道院、聖マーティン教会/1988年登録
イングランド南東部ケント州のカンタベリーは英国国教会の総本山であるカンタベリー大聖堂があります。大司教であったトマス・ベケットが、教会の自由を巡って当時の英国王ヘンリー2世と争い、ここで暗殺。しかし、ローマ・カトリックによって列聖されると、ここはトマス・ベケットが殉教した地として、巡礼地になりました。
カンタベリーのアウグスティヌスが7世紀に創設した聖オーガスティン修道院やイギリスで最も古い教会である聖マーティン教会なども合わせて登録。
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ロンドン塔/1988年登録
首都ロンドンのイーストエンドに位置するロンドン塔は、現在の英国王室のルーツであるノルマン朝のウィリアム1世によって、ロンドンの玄関であると同時に首都を防衛する要塞として建造したもの。
ホワイト・タワーを中心としたノルマン様式の軍事施設としての傑作でもあり、英国の歴史とともに発展してきた要塞宮殿でもあります。また英国王室の闇の歴史として、多くの王族が処刑された場所として有名。
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ヘンダーソン島/1988年登録
南太平洋のポリネシア東部にあるピトケアン諸島は5つの島で構成されていて、現在はイギリス領となっています。その中でも最大の島はヘンダーソン島で、ここは総面積37平方kmの環状珊瑚礁の無人島。淡水もほとんどなく、平地もほぼないという天然の要塞のような島です。
この島の被子植物は10種も固有種で、陸鳥4種はすべて固有種というほどに、独自に進化した生物が多く見られるのが特徴。
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エディンバラの旧市街と新市街/1995年登録
スコットランドの首都であるエディンバラは、中石器時代から人が住んでいましたが、街の起源としては7世紀から。14〜15世紀頃にはスコットランド王国の首都となりました。その頃に築かれたのが現在の旧市街。
世界遺産としては、エディンバラ城など、中世の建築物が並ぶ旧市街と18世紀以降に計画的に造られた都市である新市街に分かれます。新旧さまざまな建築物が多く残る町並みは、スコットランドの歴史そのものを表すもの。
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ゴフ島とイナクセシブル島/1995年登録(2004年拡大)
ゴフ島とイナクセシブル島は、南大西洋に浮かぶトリスタンダクーニャ諸島に属する島々で、「世界一孤立した有人島」とされ、アフリカ大陸の南アフリカ共和国の都市ケープタウンからは約2800kmも離れた場所にあります。
ここは哺乳類が生息していないことから、世界でも最大の海鳥の営巣生息地(コロニー)があることで知られます。大陸から離れているため、固有種の生態系が崩れず、ほぼそのまま保護されているのが特徴。
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マリタイム(海事都市)・グリニッジ/1997年登録
グリニッジは、ロンドンの南東部にあるテムズ川沿いにあるエリア。ここは英国王室の王宮があった場所で、17世紀には女王のためのクイーンズ・ハウスが建造。ここはイギリスの海の玄関口でもあり、大航海時代の名残が多く残る町です。
旧王立海軍大学や17世紀に建造された旧王立天文台があり、この近くにグリニッジ子午線(経度0度)が通るということでも有名です。
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オークニー諸島の新石器時代遺跡中心地/1999年登録
オークニー諸島はブリテン島の北方にあるスコットランド最北の海岸から約15kmの距離にあります。いくつも島が並んでいますが、その中でも最大のメインランド島には新石器時代の遺跡が点在。
ここでは、ストーンズ・オブ・ステネス、リング・オブ・ブロッガー、メイズハウ、スカラ・ブレイの4つの遺跡が世界遺産に登録されています。これらは約5000年前に北西ヨーロッパに住んでいた人々の暮らしを伝えるもの。
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ブレナヴォンの産業景観/2000年登録
ウェールズの南東部トルヴァエンにあるブレナヴォンは、渓谷沿いに広がる元鉱山町。ここは古代ローマ時代から鉄が作られていたとされ、18世紀後半から19世紀初頭まで鉄鉱石と石炭の主要産地となり、最盛期は66万tもの鋳造量を出すほどにイギリスの産業革命を支える存在でもありました。
現在は閉山しましたが、ここには当時建造された炭鉱跡や製鉄所跡、今でも現役の保存鉄道など点在します。
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バミューダ島の古都セント・ジョージと関連要塞群/2000年登録
北大西洋に浮かぶバミューダ諸島に位置するセント・ジョージは、1612年に建設された、イギリス最初期の植民都市。バミューダ諸島は、現在はイギリスの海外領土で、もともとは16世紀にスペインの探検家によって発見されたとされています。
現在も街は石造りの家が並び、中には18世紀当時から残るタッカー・ハウスなどがあります。街や島の周囲には、軍事施設が建設され、これらは17〜20世紀までのイギリスの軍事技術の発展を示すもの。
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ソルテア/2001年登録
イングランド北部、ウェスト・ヨークシャー州の小さな町ソルテア。ここはエアー川沿いに広がる町で、19世紀後半の様子がよく残っています。
町には繊維工場から公共センター、労働者のアパートなどが設立され、ヴィクトリア朝時代のモデル村でありました。資本家であるタイタス・ソルト卿の父子主義が実現された町で、労働者たちにとって暮らしやすい環境が歴史上早い時期に作られたという点で評価されています。
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ニュー・ラナーク/2001年登録
ニュー・ラナークは、スコットランド南部サウス・ラナークシャーの都市ラナーク郊外に位置する、クライド川沿いの村。ここは18世紀にグラスゴーの実業家であったデヴィッド・ダイルが、リチャード・アークライトが開発した水陸紡績機を導入し、工場や労働者のための邸宅などが並ぶ村を建設しました。
空想的社会主義者であるロバート・オーウェンによって、ここに住む子どもたちは19世紀の優れた教育を受けることができるなど、労働者が暮らしやすい環境を築き上げたことで有名です。
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ダーウェント峡谷の工場群/2001年登録
イングランド中部にあるダービーシャー州にあるダーウェント峡谷には、北はマトロック・バスから南は州都ダービーに至る約24kmの範囲に18世紀後半〜19世紀までの紡績工場が並ぶ産業景観が広がっています。
特にクロムフォードの工場はリチャード・アークライト(1732〜1792年)が発明した、世界初の水力紡績機を導入し、工場群の発展により近代的な工場制度が始まり、その後の世界各地の工業都市のモデルとなったもの。
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ドーセットと東デヴォンの海岸(ジュラシック・コースト)/2002年登録
ジュラシック・コーストは、西はイギリス南部のドーセット州のスワネイジ近郊から、東はデヴォン州東部のエクスマス近郊まで約155kmに渡って続く、多彩な自然が見られる海岸のこと。
ここは8つのエリアに分かれており、三畳紀からジュラ紀、白亜紀に渡って1億8500万年に渡って続いた中生代の地層が残っており、地層からはアンモナイトや植物、魚竜イクチオサウルスなど、さまざまな化石が発見されています。
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キューの王宮植物園群(キュー・ガーデンズ)/2003年登録
首都ロンドンの南西部に位置するキューというエリアに築かれた王宮植物園は「キューの王宮植物園」と呼ばれています。ここは18世紀から現在まで世界の植物を収集している世界最大規模の植物園で、研究所や園芸学校など、世界の植物研究において重要な役割を果たしてきました。
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コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観/2006年登録
イギリス南西部のコーンウォールと西デヴォン。16世紀以降はスズの生産地となり、19世紀初頭には蒸気機関で革命が起こり、最新技術が導入。銅とスズは英国の産業と商業において需要が高まっていき、19世紀になると世界で供給される銅の3分の2がこの地で採掘されることになりました。
しかし、1860年に銅が枯渇すると、スズが中心とはなったものの、次第に衰退。世界遺産としては10のエリアで構成され、鉱山や機関車、港、運河、鉄道、路面電車など、鉱業に関する遺構が各地に残っています。
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ポントカサステ水路橋と運河/2009年登録
ポントカサステ水路橋は、ウェールズの北東、レクサム郡にある運河に建造された水路橋で、イングランド西部のチェシャーからウェールズのデンビーシャーまで延びるランゴレン運河の一部。
ここは世界で最も長い水路橋で、19世紀に土木技師のトーマス・テルフォードによって建造されたもので、それまでの土木技術と金属加工技術を融合させた傑作。この地の水路橋は世界中の多くの土木建築に影響を与えました。
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フォース橋/2015年登録
スコットランド東部のフォース川の河口に架かるフォース橋。1890年に開通した時は、長さ2529mと世界最大のカンチレバー橋でした。カンチレバー橋というのは、両側の橋脚から張り出した片持ち梁(カンチレバー)を使用して、安定させる橋のこと。
とにかく安定させようと、材料としては5万4000トン以上の軟鋼が使われているのが特徴。その姿は「鉄の恐竜」と呼ばれ、まさに産業革命が残したモンスターといえるでしょう。
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モラヴィア教会の入植地(ドイツ・アメリカ・デンマークと共同)/2015年登録(2024年拡大)
モラヴィア教会(兄弟団)とは、プロテスタントのルター派教会の一派であり、キリスト教に対し、新生、敬虔さ、伝道、善行を目指すという共同体運動の一つ。もともとはフス派と呼ばれる集団の一派で、15世紀前半にモラヴィア地方(チェコ東部)を中心に活動するも迫害が続き、18世紀に彼らはドイツへと移住し、そこからアメリカをベースに拡大していきました。
イギリスは北アイルランドの北東部に位置する小さな村グレースヒルが登録。1759年にモラヴィア教徒によって築かれた入植地であり、モラヴィア教会の都市計画がみられるもの。
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ゴーラムの洞窟群/2016年登録
イギリスの海外領土の一つ、イギリス領ジブラルタルの南側には「ジブラルタルの岩」と呼ばれる標高426mの岩山があります。ここは石灰岩の一枚岩でもありますが、岬にもなっています。
内部には4つの洞窟があり、10万年以上前にネアンデルタール人が暮らしていたとされ、羽を装飾に使ったり、鳥や海獣類を食べていたという跡が現在も残ります。そして、彼らが岩に刻んだ抽象的な模様も残っているというのが特徴。
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イングランドの湖水地方/2017年登録
英国の北西部・カンブリアに位置する湖水地方の中でも約2300平方kmもの広大な敷地が世界遺産に登録。ここは中央の山塊から放射状に氷河が渓谷を形成し、丘陵と細長い湖が並ぶという景観が続くのが特徴です。
特にハードウイック種と呼ばれる在来種の羊が見られ、これは湖水地方独自の農牧畜がこの地でずっと続けられてきたということを示すもの。
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ジョドレルバンク天文台/2018年登録
ジョドレルバンクは、イギリスの中央部チェシャーにあり、ここにはマンチェスター大学に属するジョドレルバンク天体物理学センターがあります。
この地にある世界最大級の電波天文観測所は、マンチェスター大学の天文物理学者バーナード・ラヴェルによって1957年から使用が開始され、流星や月の研究、クエーサーの発見まで、さまざまな科学的成果を挙げてきたもの。
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ヨーロッパの大温泉保養都市群(オーストリア、ベルギー、チェコ、フランス、ドイツ、イタリアと共同)/2021年登録
ヨーロッパ各地には無数の温泉地がありますが、7カ国11箇所の温泉地が世界遺産に選ばれています。これらは1700年頃から1930年代に繁栄した国際リゾート地で、この頃のヨーロッパの温泉街の中でも特に発展した都市。
イギリスの南西部の小さな街バースは1987年に「バース市街」として個別で世界遺産に登録されていますが、この遺産に合わせて登録されています。
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ウェールズ北西部のスレート関連景観/2021年登録
ウェールズ北西部に位置するスノードン山は1085mとイギリスでも4番目の高さを誇ります。スノードン山を中心としたスノードニアは、古代ローマ時代から続くスレート(粘板岩)の産地。
おもにスレートは防水性や耐久性に優れていて、屋根に使用されることが多く、ここでは石切り場や鉱山、人々が住んだ邸宅や資産家のカントリー・ハウス、狭軌鉄道、港など、産業革命時に繁栄した姿を現在に残します。そして、ここで磨かれた技術や技術者たちは世界のスレート産業で活躍したということも評価。
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フロー・カントリー地域/2024年登録
スコットランドでも最北部にあるケイスネス州とサザーランド州にまたがる約4000平方kmにも及ぶ広大なエリア。ここはヨーロッパでも最大規模の「ブランケット湿原」と呼ばれる泥炭が広がる大地に、沼地が点在しています。「フロー」とは、沼地や湿った土地を意味する「フロイ」から由来。
ここは泥炭や沼が多く点在する広大な荒れ地で、植物はミズゴケなどが生えている程度ですが、貴重な鳥類が多く生息することでも知られます。
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番外編:海商都市リヴァプール(2021年登録抹消)
イングランドの中西部にあるリヴァプールは、もともとは小さな港町でしたが、17世紀になると商業都市として急成長し、やがて18〜19世紀には三角貿易の拠点として大いに発展。世界の主要な貿易港としての町並みが残っていて、2004年に世界遺産に登録されました。
しかし、ウォーターフロント開発計画などの再開発により、景観の保護が損なわれるとされ、2021年には登録抹消されてしまいました。
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世界遺産マニアの結論と感想
イギリスの世界遺産は文化遺産が28件、自然遺産が4件、複合遺産が1件と合計で33件と盛りだくさん!ストーンヘンジやウェストミンスター宮殿のような定番スポットだけでなく、先史時代の遺跡や産業革命時の工場などマニアックなものまで登録。世界史とも密接に関わっているので、ぜひディープに味わってみてくださいね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。