中国の世界遺産の数は合計で59件と、世界でも第2位の保有国!万里の長城、兵馬俑、四川のジャイアントパンダ保護区…誰もが知る観光地はもちろん世界遺産です。それ以外にはどんな世界遺産があるのでしょうか?
ここでは、中国の世界遺産を世界遺産マニアが一覧にして分かりやすく解説。それぞれの遺産を簡潔に解説していきましょう。
目次
万里の長城/1987年登録
万里の長城は、東は河北省の山海関から始まり、西は甘粛省の嘉峪関まで続く、全長2万kmを超える城壁のこと。紀元前3世紀から17世紀まで、歴代の中国の王朝によって、整備・修復・拡大されてきた防衛システムです。
ここはもともと点在していた長城を組み合わせて建造されたもので、世界最大の長城になったのは、明の時代(1368〜1644年)。
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北京と瀋陽の明・清王朝皇宮/1987年登録(2004年拡大)
中国の首都・北京の紫禁城(現・故宮博物院)と、東北地方の瀋陽市にある瀋陽故宮が登録されています。ここは15世紀から20世紀にかけて、明と清の2つの中国王朝の皇宮として使用された場所。
北京の紫禁城は、1421年に明の永楽帝が現在の南京から都を移すと、皇宮として使用され、その後、14人の明の皇帝と10人の清の皇帝がここで即位。紫禁城は世界最大の宮殿でもありました。
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莫高窟(ばっこうくつ)/1987年登録
甘粛省敦煌市は、かつてシルクロードの中継都市として、文明の交差路であった場所。敦煌から南東約25kmに位置するのが、仏教美術の宝庫である莫高窟。中国三大石窟の一つで、世界でも最も規模の大きい仏教石窟寺院でもありました。
ここは1000年以上も栄え、700以上もの石窟があります。石窟には美しい壁画や仏像が残され、ここは仏教美術の宝庫とも呼ぶべき場所。
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秦始皇帝陵及び兵馬俑坑/1987年登録
陝西省の省都・西安から北東へ30km。驪山の北側に位置する始皇帝陵は、紀元前3世紀に中国を初めて統一した始皇帝の陵墓です。紀元前246年に建造が始められ、40年近くも建設が続き、紀元前208年に完成。陵墓は截頭方錐型で高さは76m、城壁は内城と外城に分かれていて総面積は約52平方kmとされています。
墳墓から東へ1.5kmには、8000体もの兵士や馬をかたどった陶器「兵馬俑」が発見され、これも合わせて世界遺産に登録。
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周口店の北京原人遺跡/1987年登録
北京から南西約42kmの位置にある周口店には、更新世(約258〜1万年前)の遺跡。ここは山脈と平原の間にあり、石灰岩の洞窟には原始人類の足跡が残っています。敷地内には23のスポットから500万〜1万年前の人類や動物の化石が発見。
ここでは、1921年に北京原人(ホモ・エレクトス・ペキネンシス)の骨が発見されたことで有名で、アジアでの人類の進化の過程を示す遺跡でもあります。
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泰山/1987年登録
中国東部・山東省の泰安市にある聖山。標高は1545mの泰山は、中国の五岳の一つであり、冥界の最高神である「東岳大帝」を祀るということで道教では最も信仰を集める場所でもあります。
『史記』によると、秦の始皇帝が中国全土を統一すると、山頂で天に対して祈り、山麓で地を祀ったという「封禅」を行ったとされます。ここは文人墨客が多く訪れ、その雄大な自然は彼らの作品にインスピレーションを多く与えました。
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黄山/1990年登録
安徽省・南部にある黄山は、秦の時代から「黟山(いざん)」と呼ばれていましたが、唐の皇帝・玄宗が黄山と改名。これは中国の伝説上の王、黄帝がここで仙人になったという伝説にちなんで名付けられたもの。そして、ここは道教や仏教の聖地となり、寺院が建設されるようになりました。
「天下の名勝、黄山に集まる」と言われるほどに美しい景観が広がるエリア。奇松、怪石、雲海、温泉という「黄山四絶」という特徴を持ち、ここは唐の玄宗を含め、多くの皇帝や画家、詩人に愛され、さまざまな作品のモチーフにされてきました。
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九寨溝の渓谷の景観と歴史地域/1992年登録
九寨溝の渓谷は、四川省の中でも北部にあるアバ・チベット族チャン族自治州にある自然保護区。ここはチベット族の村落を意味する「寨」が9つあることから名付けられたもの。
カルスト地形の中には大小100もある、美しい輝きを放つカラフルな湖が眺められることで有名。そして、渓谷内は国内でも有数のジャイアントパンダの保護区でもあります。
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黄龍の景観と歴史地域/1992年登録
四川省の北西に位置する黄龍風景区は、標高4000m級の山々が連なる岷山山脈にある玉翠山の麓に位置する渓谷。ここは樹海に囲まれた渓谷沿いに3000もの湖沼が連なるという景観が続き、傾斜する渓谷に湖が並ぶことからこれが龍の鱗のように見え、「黄龍彩湖群」と名付けられました。
周囲はジャイアントパンダや金絲猴(キンシコウ)など、絶滅危惧種の動物も生息することで知られます。
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武陵源の景観と歴史地域/1992年登録
武陵源は、中国の湖南省に広がる森林公園や自然保護区などの総称。世界遺産としては、264平方kmもの広大な敷地に2000を超える珪岩の柱が点在しています。このエリアを代表する景色である珪岩の柱は、高さは100〜400mほどあり、これらは地殻変動によって形成されたもの。
政府の保護動物も28種も生息していて、絶滅危惧種のチュウゴクオオサンショウウオも見られます。特にチュウゴクオオサンショウウオは中国では貴重な動物。
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承徳の避暑山荘と外八廟/1994年登録
承徳は北京から北東へ約250kmにある都市。ここはかつて清朝の皇帝の離宮であった避暑山荘が建造された地でもありました。ここは中国全土の縮図とも呼ばれる景観が見られます。
周囲にある外八廟を含めて、中国の自然景観と宮殿建築の優れた例として、漢民族、モンゴル族、遊牧民族が崇拝していたチベット仏教の文化交流が見られるのが特徴。
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曲阜の孔廟、孔林、孔府/1994年登録
曲阜市は山東省の南東部にある都市。孔子は政治家でもあり、哲学者でもり、儒家の始祖でもあった人物です。ここには孔子の霊廟、孔子と子孫の墓である孔林、歴史の皇帝によって保護された孔子の子孫の住居だった孔府が点在。
これらは三孔と呼ばれ、中国の皇帝によって修復・整備されてきたもの。特に孔廟は中国を代表する建築物とされています。
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武当山古建築/1994年登録
湖北省でも北部に位置する武当山は、標高1612mの天注峰を持つ広大な山で、ここには7世紀の唐の時代には既に道教の聖地として道教寺院が並んでいたとされています。
15世紀に明の永楽帝によって再建された紫霄宮(ししょうきゅう)をはじめ、多くの建築物が並びます。ここは中国武術の武当拳の発祥地で、それがやがて太極拳へと繋がっていったという伝説があることで有名。
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ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群/1994年登録(2000年・2001年拡大)
チベット自治区の中央部に位置するラサ市は、標高3650mに位置する高原都市。市内にあるマルポリ(赤い山)には、ダライ・ラマが住むポタラ宮があります。17世紀にダライ・ラマ5世がチベットを統一した際に宮殿を建設し、ここには歴代のダライ・ラマが住むようになり、1936年に現在の姿になりました。
他にもチベット仏教の総本山・ジョカン寺と、ダライ・ラマの夏の宮殿であるノルブリンカも合わせて登録されており、今でもチベット仏教の聖地として多くの人が訪れています。
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廬山国立公園/1996年登録
江西省の北西に位置する九江市は、長江中流域の南岸に位置する都市。廬山国立公園は、標高1474mの漢陽峰(かんようほう)を中心に171もの峰々、断崖絶壁や深い森があり、東側には中国最大の淡水湖・鄱陽湖が広がる景勝地でもあります。
ここは李白・杜甫、白居易などの詩人が山水詩を詠んだり、浄土宗発祥の地である東林寺、中国四大書院の一つ白鹿洞書院なども置かれたりと、中国の文化に多大な影響を与えてきました。
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峨眉山と楽山大仏/1996年登録
峨眉山は四川省の省都である成都から南東へ約170kmも離れた奥地にある聖山。中国では四大仏教聖地の一つに数えられており、後漢時代には仏教寺院が造られました。それから何世紀にも渡って寺院が多く建造。
そして、楽山大仏は、岷江、大渡河、青衣江という3つの川の合流点を見下ろす丘に8世紀に建造された(近代以前に建設されたという点で)世界最大の磨崖仏。
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麗江古城/1997年登録
中国の雲南省・南西部に位置する麗江は、標高2400mの麗江平野に位置する小さな町。ここはチベット・ビルマ語族に族するナシ族(納西族)によって12世紀に築かれ、万年雪のある標高5596mの玉龍雪山から流れ出る水を利用して町中に水路をめぐらし、インフラにして発展してきました。
ここは異民族の文化を取り入れ、迷路のような街路と水路が入り組むという独特の町並みが今でも見られるという点で評価。
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平遥古城/1997年登録
山西省晋中市平遥県にある平遥は、清の時代に金融業の中心地として繁栄した都市。町は約6.4kmにもなる城壁で囲まれていて、これは紀元前8世紀の周の時代に遡るもの。
現在の町並みは14世紀の明代に改築・拡張され、城壁内には明代や清代に作られた建造物が並び、保存状態は良好。街路や役所、民家だけでなく、「日昇昌」と呼ばれる、当時の中国でも最大規模の金融機関であった建物も含まれています。
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蘇州古典園林/1997年登録(2000年拡大)
上海市西側に位置し、江蘇省の東南部にある蘇州は、紀元前6世紀の呉の首都になった時代から存在する歴史ある街。やがて蘇州と呼ばれるようになり、街の西側に位置する太湖の水を利用して、水路が張り巡らされ、水運の中心地として発展しました。
街には、主に16〜18世紀の明や清時代に建設された庭園「古典園林」が残り、中国四大名園のうち2つがここにあるというほどに、庭園文化が栄えた都市でした。
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頤和園/1998年登録
頤和園は、中国の首都・北京から北西へ約15kmの位置にある、総面積約290万kmも誇る広大な庭園。ここは元の時代から離宮がありましたが、1886年に当時政権を握っていた西太后によって莫大な予算を使用し、復元され、頤和園と改称しました。豪華絢爛な庭園となったものの、清朝が滅んで中華民国になると、ここは公園として開放されました。
敷地内には、杭州の西湖を模した人造湖が広がり、宮殿や寺院、橋など、中国の美しい景観をすべて集めたという庭園の最高傑作でもあります。
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天壇/1998年登録
明の時代、第3代永楽帝が南京から北京に遷都すると、1420年に紫禁城とともに作られたのが天地壇が建造されました。そして、16世紀になると、天と地を別々に祈ることが決定したため、天地壇を天壇と地壇に分離させ、ここは天壇と呼ばれるにように。
天壇は皇帝が自ら祈り、天に報告する場所でもありました。そして、三層の屋根を持つ円形の記念殿は、東アジアの建築に影響を与えたもの。
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大足石刻/1999年登録
大足地区は、重慶市から北西へ約100km。ここは唐代末期の9世紀から南宋時代の13世紀にかけて、5つの山々に石刻が築かれました。
5万以上の石仏が石窟に並ぶという大足石刻があります。ここは9〜13世紀にかけて建造され、多くは大乗仏教の石刻であるものの、道教や儒教の石刻が見られ、当時の人々の思想がよく分かるもの。
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武夷山/1999年登録
福建省・北部にある武夷山は、江西省ともほど近く、標高2158mの黄崗山を中心とした奇岩や渓谷が広がるエリア。ここは渓流が9回も繰り返すという九曲渓を筆頭に奇岩や渓谷で有名な景勝地。
前漢時代の遺跡や朱子学の祖である朱喜が創設した「武夷精舎」など、文化遺産も多くあり、複合遺産ともなっています。
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青城山と都江堰/2000年登録
四川省の省都・成都の北西に位置する都江堰市には、青城山と呼ばれる山岳地帯があります。ここは36もの山々が並び、108の名所がある景勝地。道教の創始者・張遼がここで道を開き、亡くなった場所であることから、道教の聖地とされています。
周囲には、岷江(びんこう)という大きな川を利用した水利施設があり、これは紀元前3世紀に築かれ、現在でも農業に利用されているという画期的な施設。
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安徽南部の古村落-西逓と宏村/2000年登録
安徽省の南部に位置する黄山市には、西逓と宏村という2つの伝統的な村があり、かつては商業で栄え、ここは14〜20世紀にかけて建築様式や装飾など、この地域独自の文化が発展した地。
ここは「徽派建築」と呼ばれる、漆喰を塗った白い壁と濃灰色の瓦屋根が並び、今でも14〜20世紀の住居に、街路や水利施設などが当時のまま残っています。
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龍門石窟/2000年登録
河南省洛陽市の南にある伊河沿いに位置する石窟。洛陽は古代の中国王朝がしばしば首都として定めた都で、北魏(386〜534年)の6代皇帝である孝文帝は、493年に平城から洛陽に遷都しました。その際に初めて築かれたのが、龍門石窟。
なんとここでは石窟が2300、仏像が11万体、石碑が2800も造られました。繊細な装飾が施された石仏は、中国における彫刻技術の最高点といえます。
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明・清王朝の皇帝墓群/2000年登録(2003年・2004年拡大)
明と清の時代、1368年から1912年まで、歴代の皇帝やその家族が亡くなると豪華な陵墓が建造されました。25人の皇帝と皇后、后などを祀った陵墓は中国各地は点在しており、それぞれ世界遺産に登録。
陵墓の位置は風水によって選ばれていて、地下宮殿などがある豪華な造りとなっていて、中国における葬祭建築の発展を示すもの。
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雲崗石窟/2001年登録
山西省大同市から西方20kmに位置するのが雲崗石窟。約1kmにわたって約51窟の石窟が並ぶという広大な石窟となっています。もともとは4〜6世紀に中国北部で栄えた王朝・北魏の4代目皇帝・文成帝が仏僧・曇曜(どんよう)に命じて造られた5つの巨大な石仏が始まり。
ここは5万を超える仏像が掘られたという壮大なスケールの石窟で、中国初期の仏教美術が見られる場所として知られています。
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雲南の三江併流保護区/2003年登録
雲南省北西部の三江併流(さんこうへいりゅう)は、デチェン蔵族自治州と怒江リス族自治州に広がっています。ここは平均標高4500mを越えるチベット高原を源流とした、金沙江(きんさこう、長江の上流)、瀾滄江(らんそうこう、メコン川の上流)、怒江(どこう、サルウィン川の上流)の3つの大河が約170kmも並行して流れる場所。
ここは中国全土の25%にも及ぶ種類の動物が生息し、多様な生態系が見られます。
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高句麗前期の都城と古墳/2004年登録
中国の北東部の遼寧省桓仁県と吉林省集安市には、高句麗前期の3つの都城と40の墳墓が現存。ここにはかつて朝鮮半島や中国北東部を支配していた高句麗(紀元前1世紀〜668年)前期の3つの都城(首都)があり、王や貴族の墳墓も点在しています。
登録範囲には、第19代王の好太王(広開土王)の石碑もあり、古代日本の歴史を知る上で最大の資料があることでも有名。
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マカオ歴史地区/2005年登録
国際貿易港であるマカオは、16世紀半ばから1999年まで、ポルトガルの管理下にありました。ここにはさまざまな国籍の人々が定住し、町には劇場、大学、病院、教会、要塞が置かれたように、西洋の影響を多く受けたエリアでもあります。
特に「聖ポール天主堂跡」は16世紀にイエズス会によって作られたもので、アジアで最大のカトリック教会であった場所。石造りのファサードは、シンボル的存在で、教会なのに東洋的な雰囲気も感じられるのも東西の交流地であるマカオならでは。
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殷墟/2006年登録
中国の中央部である河南省の安陽市に位置する殷墟は、紀元前17世紀頃〜紀元前1046年まで栄えた殷の最後の首都だったとされる場所。殷は現在確認できる中国最古の王朝でもあります。
ここでは宮殿や王家の墓が発見され、亀の甲羅に神託の結果を刻んだ甲骨文字も発掘。これは漢字のルーツとされ、世界で最も古い文字の一つ。
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四川省のジャイアントパンダ保護区 – 臥竜、四姑娘山、夾金山脈/2006年登録
中国の「国宝」であるジャイアントパンダは、四川省が主な生息地となっているのですが、現在は数が激減。生息地は甘粛省や陝西省にもありますが、四川省は世界最大の生息地として有名です。
ここは邛崍山脈と夾金山脈に広がる7つの自然保護区と9つの自然公園から構成され、レッサーパンダやユキヒョウ、ウンピョウなど貴重な動物を保護しています。
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開平楼閣と村落/2007年登録
広東省の南西部に位置する開平市は田園地帯。ここには約1800もの望楼が残っていて、これらは見張り台・避難所・家屋という機能を持っていました。
望楼は中国から北アメリカや南アジアに渡った華僑によって建造された、4〜5階建ての多層建造物で、中国の伝統建築とヨーロッパの建築様式の建築様式が融合したもの。
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中国南方カルスト/2007年登録(2014年拡大)
中国南部には約2億5000万年以上前のペルム紀〜中生代に形成されたカルスト地形が見られ、雲南・貴州省の高原地域から広西チワン自治区の盆地まで約700kmに渡って、標高差は約2000mもあるため、さまざまな景観が続きます。
ここは石の橋や鍾乳洞、木々のように並ぶ岩石など、カルスト地形が織りなす美しい風景を眺めることができます。
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福建土楼/2008年登録
福建省南西部の約120knもの範囲には、土楼と呼ばれる集合住宅が点在しています。これらは漢民族でもこの地方に移り住んだ客家によって、山間の渓谷に広がる米や茶、タバコの畑の中に建造されたもの。
現在も46もの土楼が残っていて、土楼は最大で800人もの人々が暮らすことができ、円形または方形であるのが特徴。それぞれの土楼は一族全体が住むという村のような存在となっていて、外観は質素であるものの、内部は中庭沿いに部屋が広がっていて、集団で生活できるような快適な空間が広がっています。
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三清山国立公園/2008年登録
三清山国立公園は、江西省の北東部に位置する懐玉山の西端に広がっています。「三清」とは、玉京、玉虚、玉華の三つの峰が、道教の最高神格である三清が座っているように見えることから由来。ここは花崗岩で形成された、48の尖峰や89もの柱石が並び、まるで人間や動物のように見えるのが特徴です。
ここは仙人伝説もあり、雲がかかると太陽の周りに光の輪が表れ、幻想的な風景が広がるという、気象によって風景が変化するのが特徴。
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五台山/2009年登録
五台山は、山西省忻州市五台県にあり、古くから信仰を集める聖山。ここは「5つの台地のある山」という意味で、5つの峰から構成され、最高峰は3058mもあるという美しい山々の景観が眺められる場所でもあります。
古くから文殊菩薩の聖地であり、ここは中国の四大仏教聖山の一つでもあります。かつては300以上の寺院があったとされますが、現在でも多くの寺院が残り、1000年以上にも渡って中国の仏教建築に影響を与えたもの。
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「天地の中央」にある登封の史跡群/2010年登録
「嵩山(すうざん)は」は河南省の登封市にある五岳の一つで、ここは中岳とされる場所で標高は1440m。登封は山の麓に広がり、中国初期王朝の一つ夏王朝が存在した場所とされています。中国の伝統的な宇宙観においては、「中原」と呼ばれる登封一帯こそが天地の中心であると考えられていて、その後の歴代王朝はこの地が中国文化の中心と考えてきました。
山の麓に築かれた登封には、闕(けつ)と呼ばれる宮殿と宗教施設を組み合わせた建造物や霊廟、天文学施設など8ヶ所が点在。
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中国丹霞/2010年登録
中国丹霞(たんか)は、赤い大地が隆起して風化や侵食され、堆積岩が露出するという景観が特徴。ここでは赤い断崖、石柱、渓谷、滝などさまざまな地形が見られます。
中国南部の亜熱帯地域には6箇所の丹霞地形があり、石柱や渓谷、滝など、侵食した大地が織りなす絶景が広がっています。
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杭州西湖の文化的景観/2011年登録
浙江省杭州市は、上海から南西へ170kmにある大都市。町の中心部にある西湖は、唐(618〜907年)の時代以降、多くの詩人や画家によって称賛されてきました。ここは三方を山に囲まれていて、周囲は霧に覆われることが多く、山水画のような景観が見られます。
この地で確立された景観は、周辺の国々の造園のモデルにもされたほど。
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上都の遺跡/2012年登録
万里の長城の先、モンゴル高原南部に位置する上都の遺跡は、かつて元を建国したフビライ・ハンが築いた都でした。
現在は廃墟となっていますが、ここは遊牧民であるモンゴル人と農耕民族である中国人の文化が融合した都市でもありました。敷地内には、寺院や宮殿、野営地、運河の跡など、残っています。
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澄江の化石産地/2012年登録
雲南省玉渓市澄江市には、カンブリア紀(約5億4200万年〜約4億8830万年前)初期の化石が多く出土しています。
ここには16門196種もの生物が見られ、藻類やバクテリアだけでなく、最古の脊椎動物と考えられる生物などを含んだ多様な生態系の化石も発見されています。特に三葉虫の一種である「ナラオイア」は複雑な消化器を持つという点で貴重な発見でした。
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紅河ハニ(哈尼)棚田群の文化的景観/2013年登録
紅河ハニ棚田は、ベトナムとの国境に近い雲南賞の南部の山岳地帯に位置していて、ここは酸化鉄で川が赤く見えるという紅河沿いの斜面に作られたもの。ここは世界でも最大規模の棚田が続くエリア。
この地では、山岳地帯に暮らすハニ族が1300年に渡り、自然環境を利用した棚田から赤米を作り続けていて、そのシステムそのものが文化的景観として世界遺産に登録されました。
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新疆天山/2013年登録
中国の新疆ウイグル自治区とカザフスタン、キルギスとの国境沿いに位置する天山山脈。ここは雪や氷河に覆われた山々や森林や草原、湖、渓谷など、多彩な自然が残るというのが特徴です。
最高峰のトムール山(ポベーダ山、標高7439m)、自然保護区のカラジュン=クエルデニン、草原地帯であるバインブルク、標高は5445mのボグダ山を中心としたボグダと、4つの構成資産で構成されています。
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シルクロード:長安-天山回廊の交易路網(カザフスタン・キルギスと共同)/2014年登録
シルクロードとは、中国の中心から天山回廊を通り中央アジアまで結ぶ交易路の総称でもあります。そのシルクロードの一部である約5000kmが世界遺産に登録。ルート沿いには宮殿や石窟寺院、要塞、宗教施設など、さまざまな施設が作られ、交易路を含む33の構成資産が点在しています。
中国で登録されているのは、中国の東部にある中原地区、中国の中央部の河西回廊地区、中国西部の天山北路・天山南路地区の3つのエリア。
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京杭大運河/2014年登録
中国では「大運河」と呼ばれるもので、中国の東北部にある北京から淮水、黄河、長江を通って、浙江省の杭州まで結ぶ、約2500kmの運河はまさしく大運河と呼ぶべきスケールを持ちます。
世界遺産として登録されているのは、その中でも1011kmの運河と58ヶ所の関連設備などを含むもの。現在でも中国の大動脈として使用されています。
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土司遺跡群/2015年登録
土司とは中国の歴代の王朝が南部を支配するために、地方の世襲制の首長を「土司」として任命して、彼らの慣習や生活様式を維持しつつ、国家を統一するという目的で作られた制度。
中国南部に点在する土司遺跡は13世紀から20世紀初頭にかけて土司制度がここに存在したということを示し、中央の王朝との外交や交易を行った形跡を今でも残しています。
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左江花山の岩絵の文化的景観/2016年登録
中国南西部にあり、ベトナムとの国境沿いに位置する広西チワン族自治区の崇左(すうさ)市には、カルスト地形の断崖があり、そこに描かれた岩絵群を含めて左江花山(さこうかざん)と呼ばれます。
これは現在この地に暮らすチワン族の祖先である雒越(らくえつ)人によって描かれたもの。特に銅鼓を演奏している人々が描かれていて、彼らの文化を渓谷の中で伝えているという点で評価されています。
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湖北の神農架/2016年登録
湖北省の北西に位置するエリア。ここは「神農架(しんのうか)林区」という中国で唯一の林区で、中国中央部の最大の原生林保護区。
ここは中国中央部最大の原生林が残り、キンシコウやチュウゴクオオサンショウなどの貴重な動物の生息地でもあります。そして、植物採取の名所としても有名。
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歴史的共同租界、鼓浪嶼(コロンス島)/2017年登録
鼓浪嶼は、福建省南部にある厦門に面した海峡沿いにある小さな島。アヘン戦争後、1843年に厦門が商業港として開港すると、1903年に共同租界(外国人居留地)がこの島に設立されました。
ここは伝統的な厦門周辺の建築様式と西洋の建築様式が融合したアモイ・デコ様式という独自の建築物が並びます。
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青海可可西里(フフシル)/2017年登録
フフシルはモンゴル語で「青い峰」を意味するもので、チベット語では「ホホシリ」と呼ばれます。青海省南西部からチベット自治区の北部にまたがる広大なエリアで、フフシルはチベット高原の一部に属し、世界で最も標高の高い位置にあり、広大な高地でもあります。
ここは平均気温が0度以下で、独特の生物多様性が見られ、固有種として有名なチベットカモシカ(チルー)の移動ルートとなっています。
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梵浄山/2018年登録
中国の南東部・貴州省銅仁市にある梵浄山(ぼんじょうさん)は、武陵山脈の主峰であり、周囲は主要河川の水源ともなっている場所。ここは6500万年〜200万年前の第三紀に起源を持つ動植物が多く生息しています。
これらは第三紀時代に誕生し、梵浄山モミなどの固有種を始め、貴州キンシコウやチュウゴクオオサンショウウオなど絶滅危惧種が見られるのが特徴。
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良渚古城遺跡/2019年登録
良渚(りょうしょ)古城遺跡は、中国南東部の浙江省の省都・杭州の郊外に位置しています。ここは紀元前3300〜2300年に長江下流域で繁栄した良渚文化に属するもので、平野に築かれた長江文明初期の都市国家の形跡が残る地。
ここは瑶山(ようざん)遺跡、2つのダム、都市遺跡の4つのエリアで構成され、敷地内の墓地からは社会階層によって異なる埋葬方法が見られることから、これらは小さな集落から階級社会による都市国家への移行を示すもの。
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中国の黄海=渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群(第1段階)/2019年登録
中国の東方に広がる黄海と、その奥にある遼東半島と山東半島の間にある渤海を含む大きな干潟は、世界最大の干潟の一つで、ここは非常に肥沃であり、魚類や甲殻類の生物多様性が多く見られるのが特徴。
ここは「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ」と呼ばれる渡り鳥の経路となっていて、絶滅危惧種のヘラシギを含む多くの鳥類が生息する場所。渡り鳥の中継地として、換羽や休息、越冬、営巣などをして過ごすのが特徴で、現在は段階的にエリア拡大を目指しています。
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泉州 : 宋・元時代の中国における世界のエンポリウム/2021年登録
福建省南部にある泉州市には、宋と元の時代(10〜14世紀)に東アジアと東南アジアの貿易ネットワークの中心地であった場所。そもそも「エンポリアム」は「商業の中心地」という意味もあるように、ここは中国の玄関口であり、国際都市でもありました。
今でも街には中国のイスラム教施設を含め、さまざまな宗教施設が見られ、さらに巨大な灯台や橋など、海上貿易で繁栄した様子を現在に残しています。
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普洱(プーアル)の景邁山古茶園の文化的景観/2023年登録
雲南省南西部にある景邁山(ちんまいさん)一帯は、なんと樹齢2700年というチャノキがあることで有名。ここは樹齢1000年の野生と栽培されたチャノキが半分ずつ残り、樹齢100~1000年のチャノキが生い茂るといった非常に保存状態の良いプーアル茶の古茶園が存在します。
この地では、約1800年前からチャノキが栽培されていて、現在でも少数民族によって伝統的な栽培が続けられています。登録範囲には、彼らの集落や古代から続く茶園が点在。
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バダインジャラン砂漠-砂丘群と湖沼群/2024年登録
中国の北部・モンゴル自治区の南西部にあるアルシャー盟から甘粛省に広がる砂漠であり、その面積は広大で中国で3番目に大きい砂漠でもあります。ここは砂丘や淡水湖、塩水湖が多く並ぶ景観で知られ、他では見られない独特の砂漠が続く場所。
砂丘の中には標高が1600mにもなるビルト峰(必魯図峰)もあり、世界でも稀に見る独特の景観を持つ砂漠であります。独特なのが、風が吹くと砂漠の表面がキュッという音がする「鳴き砂」が発生するエリアがあるということ。
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北京の中心軸:中国首都の理想的秩序を示す建築物群/2024年登録
北京の旧市街は元(1271〜1368年)の時代に築かれ、明(1368〜1644年)と清(1636〜1912年)の時代に発展し、800年に渡って開発が行われてきました。
北京における「中心軸」というのは、旧市街でも南方に位置する永定門から北へ、正陽門、天安門広場、紫禁城、景山を通る、約7.8kmの範囲を示します。この軸は、北京の旧市街の中心地であり、宮殿や祭壇、祭壇、市場、街路、鐘楼、鼓楼、さらには1949年に建設された天安門広場などが集まるエリア。
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世界遺産マニアの結論と感想
中国の世界遺産は文化遺産が40件、自然遺産が15件、複合遺産が4件と盛りだくさん!世界四大文明の一つでもあり、中国の歴代王朝の宮殿や霊廟など、世界史的にも重要なものばかり。万里の長城や兵馬俑だけでなく、カルスト地形の淡水や産業遺産、棚田まで、ありとあらゆるものが世界遺産に登録されているので、ぜひディープに楽しんでみてくださいね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。